千曲川本流に残る最後の木製吊り橋・大杭橋も落橋

滑津川

地理院地図で検索すると、滑津川は3つあります。(1)福島県川内村を源流とする木戸川水系の河川、(2)福島県いわき市を源流とし夏井川の約4キロ南で太平洋に注ぐ河川、(3)長野県佐久市を源流とする千曲川の支流の3本です。

あまり歓迎したくない 「滑津」という字面ですが、いわき市の滑津川は清音の「なめつがわ」で、佐久市の滑津川は濁って「なめづがわ」と読むようです。佐久市の滑津川では台風19号で千曲川との合流点近くが決壊しています。

滑津川の決壊地点
滑津川決壊(地理院タイルを加工)

滑津川が決壊したのは赤の✕印付近です。その際、数台の車が濁流に飲まれて81歳男性が亡くなっています。信濃毎日新聞の記事によれば、この車は男性の長女が運転し長男宅に避難しようとしていたそうです。

車は国道141号線を北上しようとしますが、石神交差点で警察官に阻まれます。中込大橋が通行止めになっていたからです。車は141号線を左折し県道139号線に入りますが、朝日橋付近では早くから用水路が氾濫しており、こちらも通行止めでした。

Uターンしたところに決壊による濁流が押し寄せたということのようです。複数箇所の通行止めで行き場を失ってしまうのは大雨のときにありがちなことですが、不運なタイミングで決壊が起きてしまったわけです。

小諸の大杭橋

長野県内の千曲川本流に架かる橋は100以上あります。最上流の橋は「日本基(にほんき)橋」です。もちろん川上村です。

日本基橋
大杭橋と日本基橋(地理院タイルを加工)

支流の梓川には上高地の河童橋、同じく犀川には栄更橋(えいこうばし)など木製の吊り橋がありますが、千曲川本流では唯一の木製吊り橋が小諸大橋の手前で千曲川に架かる大杭橋です。滑津川の決壊現場から直線で8キロほどになります。

大杭橋

撤去へ

2014年8月のストビューを埋め込みました。

台風直前の2019年7月のストビューでは「歩行者は通行できます」の看板が撤去されています。もう1つの看板も「車両」の2文字が白く消されて「大杭橋老朽化のため通行止め」になっています。渡れないように柵も設置されています。

2018年に「小諸ふるさと遺産」として保存が決まっていましたが、この大杭橋は2019年台風19号で橋の東側(ストビューの奥)が落橋しました。

どうやら取り壊しされるようです。撤去しても費用は生じますが、残すにしても補強が必要です。架橋時期は1919年説と1964年説があります。1981年に大規模改修が施工されています。

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