城山雨水排水ポンプ場の浸水

飯山市の住戸浸水の9割は市役所周辺です。千曲川の支流である皿川の決壊によりもたらされたものでした。飯山市の「災害経過報告第2報」の最後のページは「令和元年台風19号による河川の状況(10月12日~14日)」と第する時系列です。皿川関連の項目をピックアップしてみました。

21:00 皿川樋門の管理を委託されている操作員が警戒開始
01:30 千曲川河川事務所が皿川樋門を閉め退避するよう操作員へ命令
01:45 操作員が皿川樋門の2つのゲートの閉操作を完了
01:50 城山雨水排水ポンプ場が3基とも稼働開始
02:20 皿川の左岸から越水との連絡あり
02:30 皿川右岸のJR鉄橋の上下流から越水
03:20 皿川右岸の北町に避難勧告
03:30 皿川への排水ポンプ車の配備を千曲川河川事務所に要請
04:15 皿川左岸が決壊(堤内地左岸の水位低下、右岸の水位上昇)
05:30 皿川で千曲川河川事務所の排水ポンプ車1台が稼働
05:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水始まるも土嚢等で防止
06:40 福寿町や本町など市役所周辺地域に避難勧告
07:00 千曲川飯山観測所の水位が過去最高の11.10mを記録
07:00 城山雨水排水ポンプ場が浸水しポンプ3台が機能停止

なお、文章は私なりにいじっています。そのままではありません。たとえば1:50は「城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。」と記載されています。文意を損ねないよう配慮したつもりです。

この報告によれば、皿川樋門は1:45に閉鎖され、その5分後に城山雨水排水ポンプ場がフル稼働しているわけです。皿川樋門と城山ポンプ場の位置関係は次の衛星写真のとおりです。

皿川決壊による浸水区域付近
皿川決壊による浸水区域付近(Google Earthプロ)

皿川樋門の500mほど上流にポンプ場はあります。ポンプ場の約500m上流には市役所があり、浸水は飯山駅あたりまで及んだということです。ところで、「災害経過報告第2報」の3ページ「7.樋門、ポンプ等」には次のように記載されています。

台風19号関連災害経過報告>樋門、ポンプ棟

御立野は「関沢」地点付近の施設です。閉鎖の5分後にポンプが稼働しています。広井川は「大深」地点の南になります。ゲートの閉鎖とポンプの稼働がワンセットになっています。

本流からの逆流を防ぐために支流の樋門や樋管を閉鎖すれば、支流側に水が貯まるだけです。支流側で雨が降っている限り、何らかの方法で排水する必要があります。ポンプで強制的に排水するのは理にかなっています。

城山ポンプ場がポンプが2基稼働したのは夜9時前後です。皿川はこの時点で危険な状態を迎えつつあったのかもしれません。…と私は思っていたわけですが、どうも皿川樋門の操作開始は20:55だったようです(末尾外部リンク参照)。

それが事実なら、時間的には城山ポンプ場の運転開始と見事にワンセットになります。ひょっとすると、皿川樋門は21:00~翌1:30までの間は開けたり閉めたりの状態だったのかもしれません。

城山ポンプ場と思われる施設のストビューです。2012年6月撮影のものです。

左奥に見えるのは小学校のグラウンドと校舎です。飯山小学校の校舎は床下浸水だったそうです。小学校の校舎は地盤面から階段で7~8段上がったところが1階の床面になっています。

ポンプ場と小学校の地盤面が同じなら、ポンプ場は80センチの浸水でポンプがお釈迦になり、小学校は玄関への浸水を辛うじて防げたということはあり得ます。城山ポンプ場の被害額は1億7000万円です。

台風19号関連災害経過報告 第4報>被災及び復旧状況

特殊な設備なのですから値が張るのはわからなくもありませんが、結構な金額ではります。

さて、飯山市街地のJR線の西側には寺町が形成されています。土砂崩れはあっても浸水被害は考えにくい場所です。本宮市丸森町と同様に、飯山市にも愛宕神社がありました。

【外部リンク】
箱店屋横丁大家の店番日記>外水位6・23m、内水位6・43m時点で皿川樋門を閉じ退避〜退避時点で市役所等に連絡〜

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