アムール川を越えた「シベリアの力」のパイプライン

中露国境のアムール川

Wikiには次の記述があります。

2019年11月29日 中露国境を結ぶ初の道路橋である黒河・ブラゴヴェシチェンスク大橋(黒竜江大橋)が完成した。開通は2020年4月の予定

Wikipedia>ブラゴヴェシチェンスク

橋の「完成」と「開通」に数か月の開きがあるのは何か理由があるに違いありません。ロシアから中国への天然ガスパイプラインの開通記念式典は2019年12月2日に行われています。

時系列としては、橋の完成(11/29)→パイプラインの開通(12/2)→道路橋の開通(翌4月)となります。パイプラインはアムール川に架かるこの橋を通っていると考えられるわけです。

黒竜江大橋(建設中)
黒竜江大橋(完成後)

右側がロシア、左側が中国です。なお、アムール川下流では同江鉄路大橋という鉄道橋が同年3月に完成していますので、初めての架橋というわけではありません。

世界最大のガス工場

ガス田のあるチャヤンダ鉱区と黒竜江大橋の間には世界最大規模のガス工場があります。ヘリウムやブタン、プロパンなどを抽出しているようです。

ガス工場

2016年時点ではまだ敷地を造成中です。

建設中のガス工場

ロシアはヨーロッパにもパイプラインを敷いていますし、サハリンにもパイプラインは伸びています。北海道につなぐ構想もありましたが、東シベリアのこの地域は空白地帯でした。

国土が広く凍土への道路建設が困難という事情もあって、ロシアはもともと陸送が苦手でパイプラインに依存しています。ウクライナ戦線への補給がうまくいかないのも、物流が弱いという背景があるのでしょう。

総延長6280キロのパイプライン

シベリアの力

パイプラインが敷設されているのは「ガス田」から河北省・永清までです。このうちロシア側が「シベリアの力(Power of Siberia)」と呼ばれています。

コヴィクタ・ガス田
(シベリアの力2)803キロ2023年予定
チャヤンダ・ガス田
(シベリアの力)2,160キロ2019年12月
黒竜江大橋
(北区間)737キロ2019年12月
長嶺
(中央区間)1,100キロ2020年12月
永清
(南区間)1,480キロ2025年予定
上海
▲全長6280キロのパイプライン

「ガス田2」と上海まで接続されれば、総延長6280キロのパイプラインとなります。

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