欺瞞と粉飾を払拭できない11/7田中会長会見

数万人ではなく10万人

11/7会見の冒頭、田中会長は次のように発言しています。

現在も活発に活動している信者は日本全国に約10万人おります。

11/7 田中富広会長記者会見

「juu」と「suu」では話がまったく違ってきますので、念のため3つの音源で聞き直しましたが、私には「10万人」としか聞こえません。昨年末、教団が政府に提出した嘆願書は2万3486通でした。

今年10月の解散命令請求直前に提出した嘆願書は5万3499筆(+ネット署名2万7013人)だそうです。この言い値の数値を丸呑みすると8万人です。大村知事リコール署名のようにバイト動員はしていないでしょうが、多少の重複はあるものと思われます。

会見で問われるのは(1)迅速性と(2)誠実性です。ツール・ド・北海道協会のように事故発生10日後の会見は(1)でアウトですから、(2)のハードルが高くなります。10/13の解散命令請求から25日経過した今回もその部類です。

分母が10万人なら残りの2万人は嘆願書をスルーしたことになります。その理解でいいのでしょうか。私がこの会見のスピーチライターなら、ここは「数万人」を選ぶ場面です。(ほぼ)全員が解散を望んでいないというストーリーを語らなければならないからです。

あったかもしれない行き過ぎた行動

たしかに過去、当法人の信者の中に社会通念から見て行き過ぎた行動をしてしまったことはあったかもしれません。ただ、それも決して私利私欲を求めて行動したものではなく、ご本人なりに相手のためを思って行ったことと信じております。

11/7 田中富広会長記者会見

「社会通念から見て行き過ぎた行動」とはいわゆる不法行為のことだと思われます。この期に及んで「あったかも」しれないでは、いたずらに被害者感情を逆撫でするだけで何の得にもなりません。

一部とはいえ「あった」ことを認めたうえで始まる改善策と、あくまでも「あったかもしれない(なかった可能性もある)」を守る立場は異質なものです。

家庭連合の死生観は「地上での生活は永遠の世界である霊界へ行くための準備期間」というものです。「全国祝福家庭総連合会2011年度総会」で当時の宋榮涉・総会長は 「祝福家庭は、人類の中で最高のブランドであり、霊界に行けば偉大な立場に立つ」と発言しています。

「相手のためを思って」とは、「献金すれば(現世ではなく)霊界で幸福になれる」ということのようです。宝くじ詐欺では、海外の高額宝くじに当選した→受け取るには50万なり100万なりを入金して口座を開く必要がある、と語って詐取するわけです。

将来のリターンを当面の支払いで購入するという点で詐欺の手口そのものです。似て非なるものではありません。教団はこれを不法行為だと(まだ)認識していないということです。

最大100億円の供託を提案

さて、今回の会見の主要テーマは、教団が最大100億円を供託できる制度の新設を提案したことです。「一方的に送られたという教団ファックスを添削した」のページで私が掲げた案と同じ発想に立っています。順序が逆ですけど…。

先に100億円を供託する用意があると表明したうえで、立憲の特別措置法や維新の宗教法人法改正に反対するよう自民党議員に手を回すなら、理屈としては正論です。反対を働きかけた後出しで供託の用意がある姿勢を示しても帳尻合わせになりません。

被害者も被害金額も特定されていない現状において、現行法では供託金の制度はありませんが、この度、限定の特別措置として、国のほうで制度を用意して頂ければ当法人で準備させていただく所存です。

11/7 田中富広会長記者会見

被害額がなかなか確定されないのは、教団が受領証を発行していなかったからです。10万円以上の献金に受領証の発行が義務化されたは今年2月です。教会長がこっそりポケットに入れても、教団本部が把握できないシステムを長年続けていただけのことです。

入金確認できない教団本部が返金に応じられないと言うのは、言い分としては当然です。この態度に被害者側が不満を募らせるのも当然です。当然と当然がぶつかり合っているからこそ、このトラブルが起きているわけです。

教団の国内固定資産の総額はおおむね100億円前後と言われています。教団側の提案による最大100億円の供託と微妙に数値が重なるのが面白いところです。100億までは仕方がないということかもしれません。

もし特別供託できる制度を新設するなら仮差押との組み合わせにして、仮差押の代わりに供託もできるという制度にしないと、教団が態度を豹変させる可能性があります。まあ、国会や政府が乗っかるとは思えませんけど…。

なぜ2009年にこだわるのか?

ずっと私が不思議に思っていて、今回の会見でも使われたフリップがこれです。裁判に至る前に話を終わらせれば裁判件数は増えませんので、そこまで決定的なものではありません。

民事裁判件数

2009年ではなく2016年を基準にしたほうがロジックの構成がはるかに容易です。いわゆる反社の場合、足抜けしてから5年間未満なら反社扱いのままです。去年の時点で2017年から5年経過しています。

次の画像も以前から使われている通知書による示談件数のフリップです。やはり2009年より2016年付近を境にしたほうが説得力があるはずです。継続性を否定したいだけなら2016年でもよかろうと思われます。

通知書による示談件数

2009年を基準にすると小山田氏や大塚氏を切り捨てることになりますが、徳野氏と先代梶栗氏は守ることができます。たぶんそれだけの理由ではないはずです。

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