高根島（こうね-しま）
芸予諸島の1つ、高根島は2020年国勢調査人口が432人、2023年9月の住民基本台帳人口が493人です。島には小学校も診療所もありません。
本土からのアクセスは、三原港から生口島・瀬戸田港への旅客船（チャリ乗船可）か、「しまなみ海道」経由になります。後者では、尾道から車で40分以上かかります。
（1）新尾道大橋（または尾道大橋）を渡って向島、
（2）因島大橋を渡って因島、
（3）生口橋を渡って生口島北ICで高速を降り、耕三寺をスルーして
（4）高根大橋を渡ると高根島です。
旅客船ルートでは瀬戸田港から高根大橋の高根島側まで直線距離で600ｍほどですが、離島橋にありがちなループコースです。この橋をチャリで渡る（この橋までチャリで登る）のは、素人にはあまり現実的ではありません。
橋の塗色は柑橘類の産地であることを示しているものと思われます。
イノシシ駆除の猟犬がペットを襲う
旅客船は三原港発着ですが、行政区域としては生口島も高根島も尾道市に属しています。2006年の合併前は瀬戸田町（せとだ-ちょう）でした。なお、生口島にはタクシーがいないわけではありません。客待ちしているとすれば、瀬戸田港か観光案内所です。稼働台数的には予約必須です。
高根島でイノシシ駆除のために猟友会が入った3月31日、猟犬2頭がペットのヤギを襲い、このヤギさんは翌日に亡くなったということです。同様のニュースは何度か聞いたことがあります。
2015年には千葉県市原市で、やはりイノシシ駆除中の猟犬がペットのチワワを襲った事件が起きています。猟犬の飼い主は県の動物愛護管理条例違反容疑で送検されましたが不起訴だったようです（外部リンクA）。
イノシシ駆除の猟犬に人が咬まれたというケースもあります。去年4月、三重県度会町（わたらい-ちょう）で散歩中の60歳女性が耳を食いちぎられ、猟犬の飼い主は業務上過失傷害などで書類送検されています（外部リンクB）。
11月には滋賀県大津市で庭に入ってきた猟犬が、飼い犬のコーギーと助けようとした54歳女性に咬みつく事案が発生しています（外部リンクC）。人が咬まれた場合には過失傷害になり得ますが、ペットや家畜が咬まれただけなら刑法上の「器物損壊」にはならないはずです。
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
e-GOV法令検索＞民法第718条
もちろん、民事上の責任を回避するのは難しそうですが、高根島の場合はせいぜいヤギ1頭買えるだけの損害賠償しか認められないものと思われます。
【外部リンク】
■（A）千葉日報＞猟犬買い主を不起訴 チワワ死亡で千葉区検 2016年4月1日
■（B）読売新聞＞猟犬４匹、散歩中の女性を襲い頭の骨が見えるほどの重傷負わせる…飼い主の男を書類送検 2023/09/20
■（C）朝日放送＞猟犬３匹に襲われ５２歳女性けが 狩猟後に住宅の庭に入り込む 女性の飼い犬も尻噛まれる 滋賀・大津市 2023/11/19
■（D）大日本猟友会＞会員数の推移
■（E）環境省＞犬による咬傷事故状況（全国計：昭和49年度～令和3年度）
減少する猟友会の会員
いわゆる猟友会の全国組織は「一般社団法人大日本猟友会」です。会員数は平成元年が22万6000人、令和元年が10万4000人です（外部リンクD）。数が減れば質も下がるものかもしれません。
同会Webサイトには事故情報のページがありますが、最新が令和2年度で内容的にも物足りないところです。支部単位では報奨金の水増し請求や使途不明金の問題も発生しているのが猟友会です。
さて、高根島の事故を報道したのは地元局です。
最後の「トラブルを防ぐ為に」が？？？です。
トラブルを防ぐ為に
●ペット保険に入る
●公共の場ではリードを付ける
損害賠償責任を補償対象とするペット保険もありますが、一般的なペット保険は通院・入院・手術に対する保険です。加害者・被害者の双方がペット保険に加入すれば「トラブル」は軽減されるかもしれませんが、「咬傷事故」防止の観点からはまったく無意味です。
また、猟犬という性質上、常時リードでつないでおくというのも難しそうです。GPSと鈴を付けた猟犬を離して獲物を追い詰めるのが巻狩（まきがり）ということです。
対ペットの猟犬事故がテーマだったはずなのに、「今回は猟犬の咬みつき事案でしたけれども、犬が人を咬むということは普通のペットとして飼っている場合でも考えられますよね」と一般化したのは着地失敗だったかもしれません。
環境省統計によれば、犬による咬傷事故は2021年度に4445件発生してます。1990年に1万件を切り、2008年に5000件を切って減少傾向にあるようです（外部リンクE）。
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