明治4年に市は存在せず

福島県立福島商業高等学校のWebサイト「学校沿革」の冒頭4行です。

明治30年 福島町立福島商業補修学校として開校認可
大正11年 福島県立福島商業校と改称
昭和32年 創立60周年記念式典を挙行。記念事業として新校歌「若きこころ」発表昭和38年 福島西高女子高等学校新設にともない女子生徒募集停止

変遷が省略されるのは理解の範囲内ですが、そこを間違ってはいかんだろうと思ったりもします。Wikipediaの「福島県立福島商業高等学校」のページでは、大正11年には「福島県立福島商業校と改称」されたそうです。

福島大学の前身の1つである「福島経済専門学校」は1921年12月に設置され、翌1922年4月に1期生が入学しています。その際の名称は「福島高等商業学校」です。1922年は大正11年です。

つまり、1922年には旧制「福島商業学校」とともに旧制「福島高等商業学校」も成立しているわけです。この混同の可能性も否定できませんが、高校の歴史を語るのに大学の話が出てくるのも不自然ですので、単純なミスと思われます。

さて、福島市の市制施行は何年だろうかと、今度は福島市のWebサイトを覗いてみました(市勢概要>歴史)。

旧石器時代 福島盆地(信達地方)に人々が住むようになる。
<略>
1871年(明治4年) 福島県が誕生し、福島が県庁所在地となる。
1876年(明治9年) 福島県、磐城(いわき)県、若松(わかまつ)県が合併し、福島県となる。
1899年(明治32年) 東北初、日本銀行出張所(後に支店)が設置され、師範学校が置かれる。
1907年(明治40年) 市制施行(県内で2番目、全国で59番目の市として人口3万余人の「福島市」が誕生する。)

1871年に「福島が県庁所在地となる」とされています。市制施行第1号は1888年4月1日の大阪、京都、神戸、横浜など31都市ですから、1871年にはまだ「市」の制度そのものが存在しません。

1871年は信夫郡福島村が福島町になった年です。二本松県が福島県(第2次)に改称されたのと同じ年ですが、その先後についてはわかりませんでした。まあ、今や未来が大切なのであって、過去はアバウトでもいいものかもしれません。

ちなみに、福島県で最初に市に移行したのは1899年の若松市(→会津若松市)で、3番目が1924年の郡山市、4番目が1937年の平市(→いわき市)でした。

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