山形地方気象台
山形地方気象台は1889年7月の観測開始です。開設初期の頃は市街地を転々と移転しましたが、1910年6月に現在地に移転しています。山形駅から徒歩で30分ほどです。

2015年8月撮影のストビューを埋め込みました。
「当台」という見慣れない文言が気になります。気象台は合同庁舎に入っていることも多いのですが、単独の場合もあります。違和感がないわけではありませんので、ほかの気象台をストビューで調べてみました。役所ですから同じような看板は必ず見つかるはずです。
●秋田地方気象台(+労基署)
当庁舎にご用のない方の駐車を禁止します。
●福島地方気象台(単独)
当台に御用のない方の駐車はご遠慮下さい。
●熊谷地方気象台(単独)
当台に御用のない方は構内立ち入りを禁止します。
●富山地方気象台(単独)
気象台に御用のない方の通行はご遠慮願います。
●松山地方気象台(単独)
構内無断駐車をお断りします。
富山は「当台」を使っていません。気象台宛のビジネス文書では、必ずしも「貴台におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます」などと書かなくてもいいのかもしれません。まあ、気象台の職員宛なら「貴台」が使えるわけですが…(「貴殿」と同じような意味)。
山形の場合、合同庁舎ではなく気象台単独の建物であることから「当台」を受け入れるしかなさそうです。天文台なら人里離れた高台の立地が歓迎されるのでしょうが、気象観測はそればかりでは困ります。人が住んでいるところの気象がもっとも肝心ですので、悩ましいところです。
風速計の高さは地上14.9mです。庁舎は2階建てで3階相当の塔屋の上に風向風速計が設置されています。庁舎の周辺は寺町に隣接した住宅地寄りの文教地区です。周囲にそれほど高い建物はありません。標高は153mです。山形駅前が130m台、県庁付近が140m台ですので、盆地の底の庁舎ではありません。
70年以上守り続けた国内最高気温
山形の平均気温を10年単位で集約してみました。1910年代の10.8℃から2010年代は12.3℃に上昇しています。

今ではすっかり色褪せてしまいましたが、山形では1933年7月25日に最高気温40.8℃を観測しています。2007年8月16日の熊谷と多治見に抜かれるまで、2万7050日に渡って国内最高気温の座を守っていたのです。アンタッチャブル・レコードでした。
山形の気温が38℃台に達したのは過去6回しかありません。2位は2018年の39.0℃です。今後に関してはあまり期待?できないことになります。38℃以上の日の風向きを調べてみました。
1933/07/25 | 40.8 ℃ | – |
1962/08/03 | 38.8 ℃ | 南西(15時) |
1978/08/02 | 38.4 ℃ | 南南西(15時) |
1994/08/12 | 38.2 ℃ | 南西(15時) |
1994/08/13 | 38.9 ℃ | 北東(15時) |
2018/08/23 | 39.0 ℃ | 南南西(13:40) |
南西は国道348号線、南南西は国道13号線です。国道が風の通り道になったときに気温が上がるものと思われます。
2020年の観測値
山形地方気象台の2020年の観測値は次のとおりです。順位はすべて降順です。緯度のわりに年平均気温は高く、最低気温もそれほど低くありませんし、年較差も意外に普通です。
年降水量 | 1284.5ミリ | 989位 | /1293地点 |
年平均気温 | 13.0℃ | 525位 | /922地点 |
年最高気温 | 37.0℃ | 261位 | /922地点 |
年最低気温 | -6.4℃ | 475位 | /922地点 |
年較差 | 43.4℃ | 406位 | /922地点 |
年平均風速 | 1.8m/s | 580位 | /921地点 |
年日照時間 | 1547.1時間 | 627位 | /841地点 |
山形では1891年(明治24年)1月29日に-20℃の最低気温が記録されていますが、1942年2月12日の-16.8℃を最後に-15℃を下回ったことはありません。最後のマイナス2桁は1996年2月2日の-10℃です。
過去3年間の月別降水量をグラフ化してみました。2020年7月は月間降水量としては観測史上1位の483.5ミリで、2020年の梅雨明けは8月に入ってからでした。

2019年10月の300ミリ台は、阿武隈川や千曲川の堤防が決壊した台風19号によるものです。山形県では人的被害については重軽傷3名にとどまりましたが、季節外れの大雨に見舞われたことには違いありません。
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