人口がほぼ等しい香港と愛知県、コロナ対応は雲泥万里

香港は必ずしも新型コロナを抑え込んできた国というわけではありません。東アジアと東南アジア10か国の人口1万人当たりの感染者数は次のように推移しています。右端の「死亡率」は人口1万人当たりの死亡者数です。

4月29日5月29日6月28日7月28日死亡率
シンガポール26.94958.33974.87888.2100.047
フィリピン0.7601.4423.2797.7390.180
香港1.3951.4511.6123.8780.030
マレーシア1.8612.4202.7022.7990.039
韓国2.1012.2262.4822.7730.059
インドネシア0.2640.6801.4572.7530.132
日本1.0831.3121.4482.5280.079
タイ0.4230.4420.4540.4740.008
台湾0.1800.1860.1880.1960.003
ベトナム0.0280.0340.0370.0450.000
▲東アジア、東南アジアの新型コロナ感染率

4月末の段階で香港は10か国中7位、5月末でも7位をキープして、6月末にはフィリピンとの入れ替わりで6位に浮上しますが、7月末は10か国中8位に落ちています。人口当たりの感染者数が一貫して日本より多いのが香港です(日本の検査数の問題かもしれません)。

香港の人口は愛知県よりやや少なめです。このところ、連日100人の新規感染者が出ています。香港では7月10日から再規制に転じており、学校は13日から前倒しして夏休み、ディズニーは15日から再閉鎖されています。最新の制限は次のとおりです。

7月27日、マシュー・チョン政務長官が記者会見を行い、過去5日間連続して100名以上の域内感染が発生し、感染経路不明のケースも多く含まれ、域内での感染爆発の恐れが非常に高い状況を踏まえ、7月29日(水)午前零時から8月4日(火)までの7日間、以下4点の防疫措置強化を実施する旨発表しました。

1 レストランにおける店内飲食を終日禁止とする。持ち帰り、デリバリーは可。フードコートの飲食エリアも閉鎖とする。
2 公共の場での集合制限を4名から2名までに変更する。但し、住宅の同居者や交通手段の同乗者等は2名を越えても可とする。
3 屋外の公共の場所においてもマスク着用を義務づける。公共交通手段利用時も含め、室内室外に拘らず公共の場ではマスク着用とする。
4 新たにスポーツ・センターと水泳プールを営業停止施設に追加する。

在香港日本国総領事館>新型コロナ(その50:香港政府の防疫措置の強化)

集会制限は「2名まで」です。もちろん、香港の集会制限は公衆衛生上の要請だけで行われているとは限りませんが、店内飲食の終日禁止はデモ対策とはあまり関係ありません。香港と愛知県の新規感染者数をくらべてみました。

香港と愛知県の新規感染者数の推移

グラフは5日ごとです。最近の1日ごとの新規感染者は次のとおりです。

人口7/227/237/247/257/267/277/28
香港743万人10211111512610314298
愛知県755万人649763788076110
▲香港と愛知県の新規陽性者数

香港政府が「2名まで」を打ち出したのは142人の日です。表に反映していませんが、愛知県は7/29に167人、7/30が160人、7/31が193人です。愛知県では29日に次のような「お願い」が出ています。

○ 特に、20代・30代の若い世代の方々は、改めて、不要不急の行動の自粛と、自覚を持った行動をお願いします。
○ 大人数での会合や宴会は自粛し、「三つの密」が生じ、大声での会話等で飛沫が飛び交う場の利用は避けて下さい。
○「感染しない、感染させない」を徹底して下さい。
特に、重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある方々、妊婦等に配慮し、これらの方々も、感染リスクの高い施設の利用を避けて下さい。

愛知県>県民・事業者の皆様への「厳重警戒」のお願い(7/29)

ほぼ同じ人口で、1週間ほど香港の展開が早いわけですが、愛知県に限らず日本はかなりのんびりしています。ちなみに、累積の死亡者数は香港24人に対して、愛知県は35人です。

2020年6月の香港デモ

さて、香港では6月末に国家安全維持法が施行されています。

1 6月30日に,「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法」が成立・施行されました。翌7月1日の香港特別行政区返還記念日には,香港島の湾仔,銅鑼湾,天后を中心に抗議活動が行われ,警察発表によれば約370人が逮捕されました。この中には,同法違反により逮捕された10人が含まれています(主として香港独立の旗を所持していたこと等による国家分裂煽動罪や同教唆罪によるもの)。
2 この法律の施行を受けて,今後,抗議活動や治安への影響,同法に基づく制度の構築や運用等について,注視する必要がありますので,在留邦人及び渡航者の皆様におかれては,報道や在香港日本国総領事館等が発信する最新情報の入手に努め,今後の動勢に十分注意してください。

外務省>香港におけるいわゆる「香港国家安全法」の成立・施行に伴う注意喚起(7/03)

デモが感染を広げているという要素もあるのでしょうが、香港政府は9月に予定されている立法議会選挙を1年延期することを決めています。延期が決まる前には12人の立候補予定者の資格を取り消していますが、それだけでは足りないということのようです。選挙を恐れてコロナを口実にした延期を目論んだのだとすれば、国家安全維持法によっても民主派の勢いは衰えていないことになります。

在香港日本国総領事館では、6月以降「香港における抗議活動に関する注意喚起」を5回出していますが、MAPに反映したのは赤字の地名のみです。

6月4日(木)は天安門(「六四」)事件から31年にあたります。例年,夜にビクトリアパークで開催されるキャンドル追悼集会について,今年は警察は不許可としました。他方,同公園で何らかの活動が行われる可能性や,香港各地で同様のキャンドル追悼活動を行う等の議論がインターネット等で行われており,具体的詳細は未定ですが,現下の政治・治安情勢に鑑みても,十分注意する必要があります。

香港における抗議活動に関する注意喚起(その4:6月3日)

1 6月9日(火)は昨年の大規模抗議活動(いわゆる103万人デモ),12日(金)は立法会周辺における衝突,16日(火)は大規模抗議活動(いわゆる200万人デモ)からちょうど1年に当たります。
2 詳細は不明で流動的ですが,9日(火)について,現在,インターネット上では,中環・湾仔・太古・葵涌・新蒲崗・九龍湾・観塘等でランチタイムデモの実施,夕刻の香港島デモ等が呼びかけられており,具体的詳細は不明ですが,予断を許しません。

香港における抗議活動に関する注意喚起(その5:6月8日)

1 6月12日(金)は立法会周辺における衝突,16日(火)は大規模抗議活動(いわゆる200万人デモ)からちょうど1年に当たります。
2 本12日(金)については,現在,インターネット上では,九龍湾等でのランチタイムデモや夕方に沙田での大合唱デモ等が呼びかけられていますが,詳細は不明で流動的です。

香港における抗議活動に関する注意喚起(その6:6月12日)

1 6月28日(日)から30日(火)にかけて,中国の全人代常務委員会が開催され,その中でいわゆる香港版国家安全法が制定される可能性があるとの報道があります。
2 この関連の抗議活動は,最近,余り大規模には行われていません。しかし,下記活動がインターネット上で呼びかけられる等しており,引き続き注意が必要です。
・6月28日(日)15:00~ デモ行進(MTR佐敦駅~彌敦道経由~MTR旺角駅,銅鑼湾東角道~中環遮打公園)(詳細は未定)

香港における抗議活動に関する注意喚起(その7:6月26日)

7月1日(水)は香港特別行政区返還記念日です。例年,この日には民陣(民間人権陣線)による大規模なデモ行進が行われています。今年,民陣による活動申請を香港警察は不許可としていますが,インターネット上では,詳細不明ですが,以下の活動が呼びかけられています。昨年7月1日には抗議者による立法会突入が行われ,また,報道によれば30日にいわゆる「香港国家安全法」が可決されたと報じられているところ,引き続き注意が必要です。
・7月1日(水)14:00~ デモ行進(銅鑼湾ビクトリアパーク~金鐘添美道

香港における抗議活動に関する注意喚起(その8:6月30日)

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