アメダス倉吉は倉吉盆地ではなく北条平野

鳥取勢が日降水量7位まで独占

七夕の7月7日、アメダス倉吉の日降水量は正午の時点で221ミリでした。1976年観測開始のアメダス倉吉では、これまでの暦日降水量の最大値は2018年9月30日の218ミリです。半日残して観測史上1位を更新しました。22時現在で325.5ミリですから、約1.5倍です。

与論島で最大瞬間風速56.6m/sを観測した2018年台風24号は、和歌山県田辺市付近に上陸しています。中部電力管内では120万戸近く、東京電力管内でも40万戸以上が停電した風台風です。進路の西側だった鳥取では大きな被害はなかったはずですが、雨はしっかり降っていたわけです。

7月7日22時現在の日降水量は、倉吉325.5ミリ、鹿野282.5ミリ、塩津276.5ミリ、青谷260.0ミリ、鳥取204.0ミリ、佐治189.0ミリ、大山187.0ミリと7位まで鳥取が独占し、9位には179.5ミリのアメダス湖山(鳥取空港)も入っています。

7月7日の降水量上位地点
7月7日の降水量上位地点(地理院タイルを加工)

アメダス倉吉は日本海から約3.3キロの田んぼの中にあります。標高は8mとされています。周囲に建物はありません。

アメダス倉吉

上北条村・中北条村・下北条村の「上下関係」

倉吉市の中心部は倉吉盆地ですが、アメダス倉吉は盆地外の北条平野です。観測所は倉吉市役所から5キロほど離れています。

上北条・中北条・下北条
上北条・中北条・下北条(地理院タイルを加工)

ここで興味深いのは、アメダス倉吉(青マーカー)の南に倉吉市立上北条小学校、アメダス倉吉の北に中北条郵便局、西に下北条駅があることです。下北条駅は1915年の開業です。Wikipediaには次のような記述があります。

当時の所在地表示は鳥取県東伯郡下北条村北尾であった。

Wikipedia>下北条駅

かつての下北条村、中北条村、上北条村は次のように合併しています。

1889年1953年1954年2005年
上北条村倉吉市
中北条村北条町北栄町
下北条村北条町北栄町
▲上北条村・中北条村・下北条村

3つの村の「上下関係」が川の上流・下流によるものなのか、京都との距離に基づくのかはちょっと判然としません。下北条駅付近には北条島という地名があり、倉吉駅付近には海田東町・海田西町・海田南町があります。典型的な沖積平野であり、もともとはリアス式海岸だったはずです。現存しない上→中→下の河川があった可能性を否定できません。

アメダス倉吉

アメダス倉吉は倉吉市内ですが、打吹城(うつぶきじょう)や伯耆国の国府跡など倉吉市の中心部からは離れています。観測地点が海に近いところですので、最高気温はそれほど高くありません。36℃台は過去2回しか観測されていません。2020年の観測値は次のとおりです。

年降水量1863.5ミリ616位/1293地点
年平均気温14.8℃392位/922地点
年最高気温35.6℃488位/922地点
年最低気温-2.4℃208位/922地点
年較差38.0℃773位/922地点
年平均風速3.7m/s113位/921地点
年日照時間1758.1時間420位/841地点
▲倉吉の2020年観測値

もともと雨の多い地域ではありません。過去3年の月別降水量をグラフ化しました。

アメダス倉吉の月降水量
▲アメダス倉吉の月別降水量(2018-2020)

今日1日で300ミリ超ですので、去年7月の月間降水量以上です。幸いにも人的被害には至らなかったようです。

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