シルバーコレクターのアメダス魚梁瀬（やなせ）

アメダス魚梁瀬は国内屈指の多雨地点です。年間降水量は2020年が全国2位、2021年は全国3位でした。

2020年	5534.5ミリ	2位	/1293地点
2021年	4929.5ミリ	3位	/1293地点

▲アメダス魚梁瀬の年降水量

平年値（1991-2020年）ではたぶん全国4位のはずです。

▲4強の年降水量平年値

日降水量と年降水量は歴代2位です。

922.5ミリ	箱根（神奈川）	2019/10/12
851.5ミリ	魚梁瀬（高知）	2011/07/19

▲日降水量のワン・ツー

8670	えびの（宮崎）	1993年
7194.5	魚梁瀬（高知）	2018年

▲年降水量のワン・ツー

2019年台風21号で日降水量1位を箱根に奪われて「無冠の帝王」となってしまいました。こうして見ると「シルバーコレクター」のほうが適切なのかもしれません。

アメダス魚梁瀬は高知県東部の馬路村（うまじ-むら）にあります。馬路村の2020年国勢調査人口は745人でした。村の集落は村役場がある馬路地区と魚梁瀬地区の2つだけです。6:22魚梁瀬始発のバスは6:58に役場前に着くようです。地図の赤マーカーは周辺のアメダス観測所です。

馬路村が境界を接するのは、北から時計回りに徳島県那賀町、海陽町、高知県北川村、田野町、安芸市の5自治体です。このうち、那賀町と安芸市には車でダイレクトに行くことはできません。馬路村から海陽町へ通じる道はこんな道路です。2021年5月のストビューです。

倒木で道が塞がれていたりしますので通れる保証はありません。錆びついたガードレールは一部に設置されています。県境付近は通信障害がなくても3社とも圏外です。ここで事故を起こしたら、通りかかる誰かに通報を頼むか、さもなくば通話できるところまで歩くことになります。まさしくザ・剣道です。

魚梁瀬地区と馬路地区は北川村を経由しないと行き来ができません。実は、魚梁瀬ダムの本体は北川村の村域に建設されています。ダムに沈んだのがかつての魚梁瀬地区です。平日4便のバスは北川村経由で村役場に向かいます。

魚梁瀬ダムは奈半利川（なはりがわ）水系です。奈半利川の中流に北川村役場があります。馬路地区は安田川水系です。馬路地区に向かう魚梁瀬始発のバスは峠を越える必要があるわけです。バスは安田川に沿って田野町に入ります。

海岸線の国道55号線を右折すると安芸市です。馬路村と安芸市は境界を接していますが、田野町を経由しないと辿り着けない仕様（地形）です。なお、アメダス田野は安田川河口から約2.5キロ離れた奈半利川水系です。

アメダス魚梁瀬は雨量のみの観測所です。気温計は地上1.5ｍに設置しなければならないという縛りがありますが、雨量計に関してはこの制約がありません。

画像中央の屋根に雨量計が設置されているようです。建物の屋上に雨量計が設置されているケースはそれほど珍しくありませんが、地上目線のストビューで見つけるのはかなり困難です。2014年1月のストビューで1コマだけ確認することができます。

風除けの枠は設置されておらず、雨量計がポンと置いてあります。地上設置より落ち葉が入ることは少ないのでしょうが、入っていたら除去するのが高所作業になってしまいます。所詮は屋外ですので、蜘蛛の巣が張ったり鳥糞のプレゼントに見舞われるのは、どこでもあり得る話です。

標高は450ｍとされていますが、実際には450ｍに欠けるようです。

昨日（7/5）の日降水量は234ミリで全国1位でした。4強の日100ミリ以上の降水日数は次のとおりです。これらの地点では日200ミリ程度の雨なら日常の一部のようです。

▲日100ミリ以上の降水日数

なお、魚梁瀬では今年の1月に雨量計が交換されているようです。