菅総理が執着した「ワクチン一本足打法」の成果

ジタバタ感

文字どおり政権末期感を漂わせたジタバタぶりでしたので、もはや退陣しかないという局面に追い込まれていると私は見ていました。それほど驚きはありませんし、悪くない引き際です。

8/22 横浜市長選挙で小此木前国家公安委員長が落選、政界引退
8/26 自民党総務会が総裁選の17日告示・29日開票を了承、正式決定
8/26 岸田氏が出馬会見、党役員任期は「1期1年連続3期まで」の方針を示す
8/27 岸田氏が満5年以上在職中の二階幹事長に出馬報告
8/28 毎日新聞の世論調査で内閣支持率26%
8/30 出馬に意欲を見せていた下村政調会長に菅総理が断念を迫る
9/01 9月半ば解散説が急浮上
9/02 菅総理が「解散できる状況にない」と打ち消す
9/03 事実上の退陣表明

菅総理は神奈川2区選出です。横浜市長選の2区(西区、南区、港南区)の得票結果は次のとおりです。

西区南区港南区得票率
山中13,10323,76531,24668,11432.3%
小此木9,36218,27521,01648,65323.1%
6,48611,26512,88330,63414.5%
田中6,0349,23010,68825,95212.3%
松沢3,8527,04810,27621,17610.0%
福田2,0972,8693,1418,1073.8%
太田9742,3482,3435,6652.7%
坪倉6471,0271,0752,7491.3%
横浜市>横浜市長選挙結果

山中氏と田中氏で44.6%、小此木氏と林氏と福田氏で41.3%です。残る3氏の得票を4:6で分配すると、50.2%対49.8%になります。4位に近い3位で敗れた前市長は前回の「白紙」からIR推進に転じており、いわば汚れ役を受け入れた存在です。切り捨てられた林氏票の一定数は棄権に回るかもしれません。ご自分の選挙さえ怪しくなっていたわけです。

こうした背景の中で総裁選の日程が決まり、岸田氏が出馬会見を行います。歯切れだけでなく評判もよかった岸田氏の会見の肝は、二階氏をターゲットにした「1期1年連続3期まで」です。この争点つぶしで湧いてきたと思われるのが総裁選前に人事を行い、二階幹事長を交代させるというウルトラCです。

総裁選前の人事は立ち位置が変わってしまうことを意味します。意欲を見せていた下村政調会長に出馬断念を迫ったことは報道されていますが、水面下ではポストを餌にして総裁選をコントロールしようという動きもあったはずです。泥舟に乗ることを断られて役員人事が進まなかったと見るのは、それほど的外れではなかろうと思われます。

OECD加盟国のワクチン接種

当サイトで初めて各国のワクチン接種状況に触れたのは4月12日付です。日本はOECD加盟国では最下位でした。数値は日経の「チャートで見るコロナワクチン世界の接種状況は」から拾っています。

増加数OECD加盟国4月12日9月2日
40.4イスラエル112.5152.9
93.1チリ60.1153.2
80.2イギリス56.1136.3
60.2アメリカ51.7111.9
81.4ハンガリー37.7119.1
73.2エストニア22.896.0
92.7リトアニア21.4114.1
92.5トルコ21.2113.7
99.7オーストリア21.1120.8
126.3デンマーク20.9147.2
125.5アイスランド20.6146.1
120.6スペイン19.9140.5
71.3スロベニア19.891.1
104.1フィンランド19.6123.7
103.4ドイツ19.5122.9
110.1イタリア19.5129.6
64.3スロバキア19.583.8
124.5ポルトガル19.3143.8
121.9ベルギー19.1141.0
111.4フランス19.1130.5
119.3アイルランド19.0138.3
111.1ノルウェー18.9130.0
88.0ギリシャ18.7106.7
93.5スイス18.6112.1
123.6カナダ18.6142.2
77.2ポーランド18.495.6
104.9ルクセンブルク18.2123.1
89.8チェコ17.9107.7
106.0スウェーデン17.6123.6
112.7オランダ13.7126.4
74.8コスタリカ10.084.8
70.6ラトビア8.679.2
59.0メキシコ7.966.9
65.3コロンビア4.970.2
74.1オーストラリア3.677.7
83.9韓国2.286.1
71.3ニュージーランド1.873.1
104.2日本1.2105.4
▲100人当たりのワクチン接種回数(OECD)

143日後の9/2現在で日本は38か国中27位です。期間中の接種回数では14位になります。私自身はオリンピックが始まる前に2回目の接種を済ませましたが、4月の第4波の頃は冬になる前に打てればいいという目算でした。

人口上位30か国のワクチン接種

OECD加盟国はヨーロッパ中心ですから、国土が狭く人口の少ない国が大半です。惨めな数値を定期的に見るのは精神衛生上よろしくありませんので、定点観測は人口上位30か国に切り換えました。初回は4/22です。

増加数人口上位30か国4月22日9月2日
134.6中国14.0148.6
39.1インド9.348.4
30.9インドネシア6.337.2
48.2アメリカ63.7111.9
26.2パキスタン0.726.9
76.6ブラジル16.092.6
1.7ナイジェリア0.52.2
11.9バングラデシュ4.316.2
45.1ロシア11.256.3
55.6メキシコ11.366.9
103.7日本1.7105.4
1.7エチオピア0.52.2
30.2フィリピン1.431.6
9.0エジプト0.49.4
20.9ベトナム0.121.0
0.1コンゴ民主共和国0.00.1
96.0ドイツ26.9122.9
89.6トルコ24.1113.7
31.9イラン0.732.6
44.6タイ1.045.6
71.7イギリス64.6136.3
105.1フランス25.4130.5
103.8イタリア25.8129.6
21.4南アフリカ0.521.9
0.5タンザニア0.00.5
4.6ミャンマー1.96.5
4.1ケニア1.25.3
82.8韓国3.386.1
62.7コロンビア7.570.2
113.2スペイン27.3140.5
▲100人当たりのワクチン接種回数(人口上位30か国)

4月22日の時点では日本は30か国中16位でしたが、今では9位です。122日間では5位に相当します。けっして悪いペースではありませんので、そこは率直に評価すべきです。ただ、ワクチン一本槍なら中国と同じぐらいのペースが必要だったということになります。

例の「明かりははっきりと見え始めています」は、「予約が取れずにお待たせしている方には申し訳ないけれども、接種は着実に進んでいます。点滴薬とはいえ、効果的な治療薬も入手できるようになりました。数を確保できるように努めています。トンネルの出口が見えつつあります」と言われるなら、それほど違和感はないのです。

スピーチライターとの相性が悪かったという側面はあります。役者になりきれないタイプには、機械的棒読みに応じた原稿を用意しなければならないもののようです。

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