ワンチャンスで40℃超え、周囲全舗装のアメダス志賀（しか）

能登半島西岸のアメダス志賀と半島の付け根にあるアメダス羽咋（はくい）は直線で28キロほど離れています。三井（みい）は能登空港です。

アメダス志賀の周囲には農地もありますが、羽咋は市役所近くの市街地です。海に近いのは志賀のほうです。

両者の気温の平年値を比較してみました。高いほうを赤字にしています。

▲志賀と羽咋の平年値

（1）平均気温では冬は志賀、春から秋は羽咋が若干高い。
（2）日最高気温は年間を通して志賀のほうが高い。
（3）逆に日最低気温は羽咋が高く、4月の差は1℃以上。
（4）日較差・年較差は志賀が大きい。

アメダス志賀では2019年8月15日に40.1℃をマークしています（羽咋は39.6℃）。志賀の統計開始は1978年11月で、39℃台は2018年に1回、38℃台は1999年に1回ですので、とくに暑さが際立つ地域ではありません。

2019年8月15日は台風10号が日本に接近中でした。中条、寺泊、三条、鼠ケ関とともにアメダス志賀でも40℃オーバーになりました。5地点以上で最高気温が40℃台に達したのは過去3回です。2007年8月16日（5地点）、2019年8月15日（5地点）、2022年7月1日（6地点）です。

当日のアメダス志賀の10分ごとの値は、30℃に達したのが6:10で、35℃を超えたのが10:50です。この間、主に東風でした。東風は徐々に南風に変わっていきます。

台風10号は豊後水道を北上中です。台風はその中心に対して反時計回りの風が吹くわけですから、能登半島で東風が南風に変わるのは位置関係として妥当です。台風10号は11時過ぎに佐田岬半島を通過して、15時頃に広島県呉市付近に上陸します。

アメダス志賀の13時から15時にかけての10分ごとの観測値は次のとおりです。

13:30から14:30にかけて南西の風が紛れ込んでいます。アメダス志賀にとっての西風とは海風です。当然、この時間帯の気温は下がっています。そればかりか、14時台は日照も途切れ途切れになっています。15時以降は南～東の風に戻り、16:00には39.1℃まで回復します。

志賀の40.1℃は13:49です。西風の間隙で本来の台風の風に戻った瞬間に観測されています。西風がなければもっと上がっていたのかもしれませんし、逆にシャッフルされたことで40℃台に達したのかもしれません。

この西風は羽咋では見られません。羽咋では当日の10分ごと144回の観測データで「西」は1つも見当たりません。→羽咋 2019年8月15日（１０分ごとの値）

アメダス志賀の2020年と2021年の観測値は次のとおりです。

▲2020年の観測値