最高標高12mの舳倉島(へぐらじま)、アメダスは8m

アメダス舳倉島

舳倉島(へぐらじま)は能登半島の北にある1km2に満たない小さな島です。緯度的には佐渡島や新潟市とほぼ同じです。

能登半島先端部付近のアメダス
アメダス観測所(地理院タイルを加工)

舳倉島のアメダス観測所は2014年8月に開設された雨量オンリーの観測所です。標高は8mとされています。

舳倉島
舳倉島(地理院タイル

地図の中央に「文」の学校マークが2つ見えます。輪島市立鳳至(ふげし)小学校舳倉島分校と輪島市立輪島中学校舳倉島分校ですが、両校とも生徒数ゼロで長期休校中です。学校マークの下に標高7.7mの電子基準点があります。四捨五入すれば8mです。経験上、アメダス観測所はこの近くにあるはずです。

アメダス舳倉島

ビンゴでした。左上が電子基準点、中央の矩形区画が観測地点です。

最高標高12.5mの島

2020年の観測値は次のとおりです。本土や佐渡島と比較するとかなり少ないほうです。

舳倉島1301.0ミリ979位/1293地点
輪島2194.0ミリ415位/1293地点
珠洲(すず)1943.0ミリ571位/1293地点
相川1810.0ミリ651位/1293地点
羽茂(はもち)1876.0ミリ609位/1293地点
▲2020年の年総降水量

過去3年の月降水量をグラフ化してみました。とりたてて去年が少なかったというわけではなさそうです。

アメダス舳倉島の月別降水量
アメダス舳倉島の月別降水量

飛島や奥尻もそれほど多くありませんので、日本海側の島はこんなものなのかもしれません。舳倉島の最高標高は12.5mです(三角点)。灯台の横の「へぐら愛ランドタワー」は観光施設(展示ありの案内所)ですが、津波時の避難タワーとしての役割も担っているものと思われます。

なお、島内の写真を見る限り高い樹木はなく斜めに育っていますので、やはり風は相当に強いものと推測されます。

商業施設どころか自販機もない

内閣府のWebサイトには次のように記載されています。

島内に民宿が2軒あるので予約すれば宿泊、もしくは昼食をとることが可能です(季節により休館の場合あり)。ただしこの2軒以外に商業施設や食事処、売店・自動販売機はないため、食料や飲み物は輪島港を出る前に必ず用意しておきましょう。

内閣府>日本の国境に行こう!!>舳倉島エリア

島の人口が気になります。2017年9月の石川県の文書が見つかりました。夏と冬で10倍近く人口が違うようです。

舳倉島の人口は、漁獲時期のピーク時で海女等の漁業関係者を主体として200人ほどで冬期間は30人ほどである。平成27年の国勢調査人口は105人、46世帯である。

石川県>石川県特定有人国境離島地域の地域社会の維持に関する計画(4ページ)

舳倉島へのアクセスは1日1便の定期船に限られます。輪島発9:00で舳倉島着が10:25、舳倉島発は夏季(4-10月)が15:00発、冬季(11-3月)は14:00発です。夏季なら4時間滞在できることになります。定期船の就航率が掲載されていました。

定期船の就航率(~維持に関する計画 6ページ)

4月の60%は実数で18日です。5月が22日、6月と7月が26日、9月は22日、10月は21日、11月が13日、12月が8日、2月が11日、3月が18日です。8月と1月は分母が31ではありません。1月は元旦運休で30往復予定が12日しか運行できず、8月は増便なら39分の30、減便なら26分の20で計算が合います。冬は荒れるだけでなく利用も少ないので欠航しやすいのかもしれません。

海人の血

舳倉島の住所は全島が「輪島市海士町」ですが、本土の輪島港にも「輪島市海士町」があります。主にここの住民が漁獲期に舳倉島に出張しているということのようです。

本土の輪島市海士町
本土の輪島市海士町(地理院タイルを加工)

戦国時代に能登半島西岸の赤住に漂着した福岡の漁民13人はそこで漁を続け、冬になると故郷に帰っていたそうです。その伝統が今も受け継がれていることになります。

戦国時代に福岡から移住
戦国時代に移住(地理院タイルを加工)

漂着先で漁を続けた福岡の漁民は赤住から徐々に北上し、漁場を求めて輪島から舳倉島に渡るようになります。日本海を50キロ隔てた2つの「輪島市海士町」にはそんな背景があったわけです。

輪島市には海女漁に従事することができる女性が250~300人おり、うち、アワビやサザエ漁の鑑札(漁業権の免許)を毎年購入することにより、海女漁が認められる仕組みとなっている。

石川県>石川県特定有人国境離島地域の地域社会の維持に関する計画(15ページ)

▲赤字を施した「うち」は日本語としての意味が通りません。「ウニ」のタイプミスだと考えたほうがよさそうです。

日本の漁業権は慣行が権利化されていますので、一筋縄でいかないところがあります。一般人がウニ、アワビ、サザエ、ナマコ類を獲ると、密漁(漁業権侵害)扱いとなるケースが圧倒的です。

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