旧測候所の尾鷲(おわせ)
三重県内のアメダス観測地点のうち気温が観測対象となっているのは、桑名、亀山、小俣(おばた)、粥見(かゆみ)、鳥羽、南伊勢、宮川、紀伊長島、熊野新鹿(あたしか)、四日市、上野、尾鷲の12地点です。
2019年6月28日の日最高気温は、全国上位8地点のうち6地点を三重で独占しました。
- 35.0℃ 三重県尾鷲市 尾鷲
- 34.2℃ 三重県熊野市 熊野新鹿
- 33.5℃ 三重県松阪市 粥見
- 33.0℃ 三重県伊勢市 小俣
- 33.0℃ 千葉県茂原市 茂原
- 32.7℃ 岡山県高梁市 高梁
- 32.7℃ 三重県紀北町 紀伊長島
- 32.7℃ 三重県津市 津
1位・尾鷲の観測ポイントは2007年に無人化された旧測候所です。尾鷲特別地域気象観測所の名称で合同庁舎の敷地に露場が設けられています。風向風速計は庁舎の屋上に見えます。合同庁舎は市役所や簡易裁判所、新聞社の支局などが立地する尾鷲市の中心部にあります。尾鷲は人口2万人に満たない規模ですから、周辺にビルが林立しているわけではありません。
雨で有名な尾鷲ですが、日最高気温1位になるのはかなり珍しいことではないかと思われます。尾鷲の観測開始は1938年ですが、38℃以上が記録されたのは過去8回(日)しかありません。いずれも1990年代以降です。
- 38.6℃ 2016/07/03
- 38.4℃ 1995/08/27
- 38.2℃ 2013/08/11
- 38.1℃ 2018/07/23
- 38.0℃ 2016/08/22
- 38.0℃ 2013/08/10
- 38.0℃ 2009/07/13
- 38.0℃ 1990/07/18
尾鷲は翌6月29日も34.7℃で2日連続の日最高気温1位でした。
降り始めたら多量の雨
さて、現在公表されている平年値とは1981年から2010年までの30年間の平均値です。尾鷲の年降水量は3848.8ミリで、屋久島(4477.2ミリ)、えびの(4393.0ミリ)、魚梁瀬(4107.9ミリ)に次いで全国4位、本州では1位です。
日照時間の平年値は次のとおりです。えびのと魚梁瀬は雨量のみの観測ですので、近接地の加久藤と大栃を調べてみました。尾鷲の日照時間は周辺との比較でも突出して少ないわけではありません。
- 1946.9時間 尾鷲
- 1900.8時間 熊野新鹿
- 1972.5時間 鳥羽
- 2089.0時間 津
- 1960.4時間 四日市
- 2091.6時間 名古屋
- 1530.5時間 屋久島
- 1954.3時間 加久藤
- 1764.5時間 大栃
- 1906.2時間 内海
- 1876.7時間 東京
- 1996.4時間 大阪
東京や雨の少ない小豆島の内海より尾鷲の日照時間は長くなっています。尾鷲は雨が多いと言うより、降り始めたらその量が多いということになるようです。
大雨警報基準は高く設定
ところで、大雨警報には浸水害に対する警報と土砂災害に対する警報の2種類があります。浸水害については表面雨量指数が、土砂災害については上流域で降った雨も考慮した土壌雨量指数が発令の基準に用いられています。
いずれにしても、降水量だけが警報・注意報の判断基準になるわけではありません。警報発令時の基準は原則として市町村単位で次のように定められています。行頭の数値が表面雨量指数で、ハイフンの次が土壌雨量指数です。
- 40-161 尾鷲市
- 30-157 熊野市
- 38-146 伊勢市
- 31-113 津市
- 33-129 四日市市
- 23-130 名古屋市
- 22-184 屋久島町
- 19-213 えびの市
- 22-259 馬路町
- 16-140 小豆島町
- 19-180 新宿区
- 15-*** 大阪市(大阪市内には土砂災害警戒区域なし)
隣接する熊野と尾鷲で等しい雨量だったとしても、熊野は警報で尾鷲は注意報というケースはあり得るわけです。尾鷲は多量の雨が降っても、その雨を受け流すことができるということになります。
2020年の観測値
2020年の観測値は次のとおりです。
年降水量 | 3880.0ミリ | 23位 | /1293地点 |
年平均気温 | 17.3℃ | 108位 | /922地点 |
年最高気温 | 37.3℃ | 215位 | /922地点 |
年最低気温 | -1.3℃ | 142位 | /922地点 |
年較差 | 38.6℃ | 739位 | /922地点 |
年平均風速 | 2.3m/s | 377位 | /921地点 |
年日照時間 | 1992.3時間 | 205位 | /841地点 |
三重県南部の尾鷲は年平均気温もかなり高めです。雨の日数が多いというわけではありませんので、意外に過ごしやすいのかもしれません。日照時間は全国でも多いほうです。
大分県豊後高田市の尾鷲(おわし)
「尾鷲」はオンリーワンの地名のような気がしますが、調べてみると大分・国東半島の西側に「尾鷲」の地名があります。読みはノーマルに「おわし」のようです。
住所的には「豊後高田市臼野」ですので、尾鷲は小字ということになるのでしょう。大分交通さんの尾鷲バス停があります。尾鷲公民館もあるようですが、ストビューでは表札などを確認することはできませんでした。
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