能登半島先端部の宝立町柏原は最北端の「かしはら」

最北端の「かしはら」

「柏原」の地名は全国に100前後あります。石川県珠洲市(すず-し)の宝立町(ほうりゅう-まち)柏原は、郵便番号検索でもネット地図でも「かしはら」です。「かしはら」読みとしては最北端でもあります(最東端は微妙に逃しています)。

能登半島の突端部の珠洲市は1954年に珠洲郡3町6村の合併で発足しています。珠洲市Webサイトには「定住用物件」が紹介されています。2019年7月17日時点で柏原からは2件登録されていますが、都合よくフリガナが振ってありました。これで確定としてよさそうです。

珠洲市の定住用物件
珠洲市>定住用物件(空き家)情報-内浦エリア

物件は築60年以上です。水回りの修理が必要だそうですが、100万円を限度として補助金も出るようです。柏原地区は海から1.5キロほどです。最寄りの鉄道駅は車で40分ほどの穴水駅(のと鉄道七尾線)です。七尾まで車で行くなら1時間以上かかります。能登空港は羽田便が1日2往復です。

能登半島
能登半島(地理院タイルを加工)

中電と関電による能登原発計画

珠洲市にはかつて原発2基の建設計画がありました。中部電力が能登半島東端の三崎町(青)、関西電力と北陸電力が日本海側の高屋地区(紫)を建設予定地としていたものです。電力3社による共同運営という触れ込みでした。

福島第一原発や柏崎原発から東京までの直線距離は約220kmほどです。珠洲市から名古屋まで富山湾を抜ける直線距離は約250kmで、珠洲から京都までで約300kmです。建設されていたら、送電ロスは最大規模だったに違いありません。

興味深いのは、もっとも積極的だったと思われる関西電力は加圧水型で、中部電力と北陸電力は沸騰水型だということです。もし3社共同開発なら、どちらに転んだのか気になるところです。

1999年10月27日の参議院決算委員会の議事録です。当時の緒方靖夫議員の質問です。

 問題の土地の売り主である神奈川県在住の医師は、現在確かに脱税容疑で裁判中ですけれども、この医師は先週開かれた第二回の公判で、関西電力による土地買収の工作が露見して原発建設計画がとんざしてしまうことを懸念して、関西電力側の意向に従い、将来関西電力側が買収の事実が公になっても構わないと判断する時期まで所得申告を待つことにしたと、一連の売買に関西電力の関与があったことを認めているわけですよ。
 しかも、昨年九月、東京国税局査察部がこの医師の脱税容疑に関連して関西電力の珠洲立地事務所を調べた際、本来なら契約書上所有者であるゼネコン関係会社が持っているはずの土地権利証が同事務所に保管されていたことが発見され、国税当局に押収されています。この事実については昨日の定例記者会見で関西電力の石川社長も認めている。

参議院決算委員会議事録

夢のあと

最高裁まで争った医師には有罪判決が出ていますが、同情の余地がないわけでもありません。立地予定地の高屋町の土地11万㎡を東京の不動産会社に売却したところ、しばらくは税務申告しないようにと要請されたそうです。

その意向を汲んで申告を見送った医師を税務当局は所得隠しとして起訴します。それ自体は当然のことです。医師は公的機関に等しい電力会社の要請を受け入れた以上、フォローしてもらえるものと思い込んでいたようです。

建設用地は8割以上が取得済みとの報道もあります。それらの土地の大半は有効利用されることもなく放置されているのでしょう。まあ、もともとそういう土地だからこそ建設計画が出たのかもしれませんけど…。

珠洲市宝立町春日野

能登半島では、このように堤防のない海岸線沿いの道路も見かけます。2014年10月撮影のストビューです。

【2024/01/09追記】このページを公開した2019年当時はまだ能登の群発地震は始まっていませんでした。堤防のない海岸線に私は「開放的な気分になります」と記述していましたが、削除しました。少々の堤防があっても津波は乗り越えたのでしょうが、人家があるならやはり堤防は必須のようです。もし原発計画が実現して稼働中だったとしたら、とんでもないことが起きたかもしれないわけです。

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