アメダス木曽平沢は廃止、峠を越えた隣村の木祖薮原に新設

庁舎取り壊し予定

長野県塩尻市の旧中山道沿いにあったアメダス観測所「木曽平沢」が2019年9月に廃止になっています。代わりに、塩尻市に隣接する木祖村に「木祖薮原」が新設されています。峠を越えて6.5キロほど離れていますので「平沢」の観測値は引き継いでいません。

木曽平沢→木祖薮原(地理院タイルを加工)

「木曽平沢」の観測所は塩尻市楢川支所の敷地内でした。屋上に降水量と風向風速と日照の観測機器が設置され、敷地の一角で気温を観測していたようです。楢川支所は旧・楢川村役場です。

楢川支所は2019年10月に旧・楢川保健福祉センターの木造建物に移転しました。建物自体もいずれ取り壊される予定とのことですので、支所の移転に合わせてアメダス観測所も撤収を余儀なくされたものと思われます。

楢川村が塩尻市に編入合併したのは2005年です。合併以前の観測所名は「楢川」でした。40年観測を続けてきた木曽平沢の日降水量1位は2006年7月18日の175ミリでしたが、2019年9月5日に観測を始めた木祖薮原では10月12日に200ミリを観測しています。台風19号がもたらした雨です。

木曽川水系の木祖薮原

峠を越えている関係で、平沢と薮原では水系も異なります。平沢を流れる奈良井川は信濃川水系です。一方の薮原は木曽川本流が流れており、標高もかなり高くなっています。

木曽平沢信濃川水系900m
木祖薮原木曽川水系985m
▲平沢と薮原

2020年10月のストビューで道路より高台に薮原の風速計を確認することができますが、衛星写真は移転前の2018年が最新です。ストビューを見る限り、周囲に観測の障害になるような建物等はありません。

木祖薮原の2020年観測値は次のとおりです。平沢の年降水量は1980年の2496ミリが最多でしたが、通年観測1年目でこれを上回っています。また、平沢の最高気温は2018年8月5日の36.2℃でしたが、これまた薮原は初めての夏で並んでいます。

年降水量2579.0ミリ255位/1293地点
年平均気温10.2℃712位/922地点
年最高気温36.2℃399位/922地点
年最低気温-14.4℃751位/922地点
年較差50.6℃126位/922地点
年平均風速1.8m/s580位/921地点
年日照時間1685.0時間496位/841地点
▲木祖薮原の2020年観測値

木曽平沢の平均気温の推移

移転済みですので、遠慮なくストビューを埋め込みます。2019年5月撮影のものです。

中央のマイクのような形をしているのが温度計です。温度センサーが直射日光や風雨にさらされないように通気筒でカバーされている気象庁仕様です。

温度計の通気筒
気象庁>気象観測ガイドブック(36ページ)

木曽平沢の年平均気温はちょうど10℃前後です。1979年から1999年までの21年間で年平均気温が10℃を超えたのは7回、2000年から2018年までの19年間では14回あります。残念ながら右肩上がりです。

木曽平沢の年平均気温

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