各国の致死率等をウオッチしています。シリーズ9回目です。これまで厚労省の日報「国外の発生状況について」の数値を使ってきましたが、今回からジョンズ・ ホプキンス大学が発表している数値を用いることにします。
ジョンズ・ホプキンス大のコロナマップでは、国や地域ごとのConfirmed(陽性確認者)、Deaths(死亡者)、Recovered(回復者)、Active(治療・経過観察中)が示されています。Confirmed=Deaths+Recovered+Activeの等式が成立します。
今回の規定打席は感染者2000人以上の47か国としました。香港、台湾、それに死亡者205人のアルジェリアも表に加えましたので計50か国です。4日前の前回は死亡者数40人以上の40か国プラス感染者4000人以上の3か国でした。
国 | 感染者 | 増加率 | 死亡者 | 致死率 |
---|---|---|---|---|
フランス | 83,080 | 1.21 | 10,887 | 13.1 |
アルジェリア | 1,572 | 1.26 | 205 | 13.0 |
イタリア | 139,422 | 1.12 | 17,669 | 12.7 |
イギリス | 61,474 | 1.50 | 7,111 | 11.6 |
オランダ | 20,682 | 1.24 | 2,255 | 10.9 |
スペイン | 148,220 | 1.19 | 14,792 | 10.0 |
ベルギー | 23,403 | 1.27 | 2,240 | 9.6 |
スウェーデン | 8,419 | 1.31 | 687 | 8.2 |
インドネシア | 2,956 | 1.41 | 240 | 8.1 |
イラン | 64,586 | 1.16 | 3,993 | 6.2 |
全世界 | 1,490,790 | 1.27 | 88,982 | 6.0 |
メキシコ | 3,181 | 1.88 | 174 | 5.5 |
エクアドル | 4,450 | 1.28 | 242 | 5.4 |
ドミニカ共和国 | 2,111 | 1.42 | 108 | 5.1 |
ブラジル | 16,195 | 1.58 | 822 | 5.1 |
フィリピン | 4,076 | 1.32 | 203 | 5.0 |
ルーマニア | 4,761 | 1.32 | 229 | 4.8 |
中国 | 82,870 | 1.01 | 3,339 | 4.0 |
デンマーク | 5,597 | 1.31 | 218 | 3.9 |
アイルランド | 6,074 | 1.32 | 235 | 3.9 |
スイス | 23,280 | 1.15 | 895 | 3.8 |
アメリカ | 432,438 | 1.40 | 14,808 | 3.4 |
ポーランド | 5,341 | 1.45 | 164 | 3.1 |
インド | 5,916 | 1.93 | 178 | 3.0 |
ポルトガル | 13,141 | 1.25 | 380 | 2.9 |
ペルー | 4,342 | 2.49 | 121 | 2.8 |
コロンビア | 2,054 | 1.46 | 55 | 2.7 |
パナマ | 2,528 | 1.51 | 63 | 2.5 |
セルビア | 2,666 | 1.64 | 65 | 2.4 |
オーストリア | 13,005 | 1.11 | 295 | 2.3 |
カナダ | 19,290 | 1.39 | 436 | 2.3 |
トルコ | 38,226 | 1.60 | 812 | 2.1 |
ドイツ | 113,296 | 1.18 | 2,349 | 2.1 |
日本 | 4,667 | 1.43 | 94 | 2.0 |
韓国 | 10,423 | 1.02 | 204 | 2.0 |
チェコ | 5,335 | 1.22 | 104 | 1.9 |
ノルウェー | 6,042 | 1.10 | 101 | 1.7 |
フィンランド | 2,487 | 1.32 | 40 | 1.6 |
マレーシア | 4,119 | 1.18 | 65 | 1.6 |
ルクセンブルク | 3,034 | 1.11 | 46 | 1.5 |
パキスタン | 4,322 | 1.53 | 63 | 1.5 |
サウジアラビア | 2,932 | 1.35 | 41 | 1.4 |
タイ | 2,423 | 1.17 | 32 | 1.3 |
台湾 | 379 | 1.07 | 5 | 1.3 |
チリ | 5,546 | 1.33 | 48 | 0.9 |
オーストラリア | 6,104 | 1.10 | 51 | 0.8 |
イスラエル | 9,404 | 1.20 | 73 | 0.8 |
ロシア | 10,131 | 2.15 | 76 | 0.8 |
アラブ首長国連邦 | 2,659 | 1.77 | 12 | 0.5 |
香港 | 960 | 1.11 | 4 | 0.4 |
カタール | 2,210 | 1.67 | 6 | 0.3 |
まず感染者数です。昼過ぎに覗いたときは全世界の感染者数は1,511,104人で、150万人突破のニュースも流れていますが、私が集約した夕方の時点では1,490,790人に減っており、今(4/9 20:14 LastUpdate)は1,498,833人です。
さて、国別の感染者数ですが、前回6位のフランスは中国を抜いて5位に上がりました。前回11位のベルギーはスイスを抜いてTOP10に復帰しています。
9位トルコと10位ベルギーは前回は5000人差でしたが、今回は1万5000人差に開いています。トルコの感染者数は4日前の1.6倍に増えていますが、死亡者はまだ3桁であり、致死率はドイツ並みの2.1%ですから、積極的に軽症者を拾っている可能性もあります。
感染者増加率は、ペルーが4日前の2.49倍、ロシアが2.15倍、インドが1.93倍、メキシコ1.88倍です。日本は50か国中15位の1.43倍です。規定打席未満では、バングラデシュ3.11倍、ベラルーシ2.42倍、ウズベキスタン2.09倍となっています。増加率で注目すべきなのは、1.02倍の韓国、1.07倍の台湾です。
死亡者数ではアメリカがスペインを抜いて2位に、ドイツがオランダを抜いて8位に浮上しています。10位ベルギーと11位スイスは1350人差に広がっており、死亡者数TOP10の顔ぶれはかなり固定してきました。
死亡者数を感染者数で割った致死率では、フランス、アルジェリア、イタリア、イギリス、オランダ、スペインが10%以上です。規定打席未満のサンマリノが11.0%、コンゴ民主共和国は10.0%です。全世界の致死率は6%に達しましたが、ダイヤモンド・プリンセス号における致死率が1.5%ですので、致死率が高い国は医療崩壊を起こしたか、無症状者を捕捉できていないかのどちらかということになるはずです。
人口1万人当たりの感染者数では、ルクセンブルクが50人台まで伸ばしました。1万人で50人なら、200人に1人の割合になります。規定打席未満では、サンマリノが90人台、アンドラが73人台、アイスランドが47人台です。まだ人口の1%に達した国はありません。感染拡大が進んだ国でもそう簡単に感染するわけではないとも言えるわけです。
スペインが31人台、イタリアは27人台、ベルギーは20人台、ドイツとアメリカが13人台、フランスとオランダは12人台です。香港が1.302人、台湾は0.160人で、日本の感染率は1万人当たり0.367人です。このレベルで病床不足に陥るほど日本の医療は脆弱だったということになります。
現状で約4000人の入院患者のうち8割の軽症者を移せば、3200人分のベッドが空くわけですが、感染者が5日で倍増するのなら3200床は半月で埋まってしまう計算になります。2週間様子を見る余裕はないはずです。
ところで、ジョンズ・ホプキンス大の感染MAPにはRecoveredの数値がありますので、回復率も算出してみました。都道府県別のページでは退院率と呼んでいます。計算式は、「(Deaths+Recovered)÷Recovered」です。露骨に表現すると生還率です。
ヨーロッパの優等生・ドイツより回復率が高いのは、香港98.5%、韓国97.2%、カタールとタイが96.7%です。規定打席未満では、ニュージーランドが死亡者1の回復者317で99.7%、クウェートが死亡者1の回復者111で99.1%、アイスランドが死亡者6の回復者633で99.1%、バーレーンが死亡者5の回復者477で99.0%、マン島が死亡者1の回復者82で98.8%、シンガポールが死亡者6の回復者406で98.5%です。
一方、イタリアの回復率は60.0%、アメリカが62.0%、フランスが66.3%、ベルギーが67.6%、スペインは76.5%です。日本の回復率87.1%は50か国中では中位ですが、準戦時下にあるイランの88.2%より低い数値です。
また、致死率はそこそこ低いトルコの回復率は69.5%ですので、検査を増やしているのか、あるいは急激に深刻な状況が訪れつつあるのか、まだ評価しかねるところです。
なお、イギリスは死亡者7111人に対して回復者345人で回復率4.6%です。アイルランドも死亡者235人の回復者25人で回復率9.6%になります。ジョンソン首相がそうであるように軽症者が自宅療養となる国ですので、実態を反映した数値ではないはずです。自然治癒に任せて、陰転検査はしないのでしょう。どうしても検査能力が限られるのなら、陰転検査を絞るのも考え方なのかもしれません。
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