消滅地名「百三段」由来の「ももさだ」カエル像

Chromeのリーディングリスト

2021年3月、PC版のChromeの右肩に「リーディングリスト」が出現しました。

Chromeのリーディングリスト

ブックマークするほどではないにしても、「後で読む」ための一時保存用のリストです。iPhone版のChromeには前からリーディングリストがありました。オフラインで読めるのが売りですので、搭乗前の空港待合室で何ページか保存して、機内で利用したことが1度だけあります。

デスクトップPCで「後で読む」ためには、タブを開いたままにしておいて、シャットダウンしなければいいだけの話です。この方法なら半ば強制的に読まされるわけです。24型ディスプレイですので、ブックマークバーの邪魔になるわけでもありません。というわけで、邪険に扱うこともなくスルーしてきました。

先日、間違って「リーディングリスト」をクリックしてしまいました。iPhoneとPCのChromeは同期されているはずです。1度しか使った記憶はなく全部削除したつもりでしたが、不思議なことに1件だけ登録されているページがあるのです。

既読のページ

ファビコンが示すように、これは私がかつて作成した(今は非公開としている)ページです。GoogleのBloggerで公開していました。「1516日前」になっていますが、確認してみるとこのページの公開日は2017年4月でした。ただ、その当時はリーディングリストはなかったはずです。それに、このページだけが登録されている理由もわかりません。

ナゾは残れど「ももさだカエル」

そのページにあったのが「ももさだカエル」です。

ももさだカエル

片足で立つカエルの像が砂浜にポツンと建てられています。カエルさんは手を握っていますのでグリコの万歳ではなくガッツポーズなのでしょう。

「ももさだカエル」と名付けられたこの銅像、拡大しないとわかりませんが、浮いた左足の指が4本しかありません。一般的にカエルの前足は指4本ですが、後ろ足の指は5本だったはずです。

東京都のポスター

評判のよくない東京都のポスターでも左手の指は4本です。足の指は3本にしか見えませんので、芸が細かいわけではないようです。ただ単に重なっているだけなのかもしれません。それはともかく、「ももさだカエル」像には次のように記されています。

この像は
昔の新屋浜のにぎわいにカエル
事故やけがなく無事カエル
ゴミを捨てずに持ちカエル
という願いをこめて建立しました

1993年3月に建てられたようです。新屋(あらや)海浜公園にありますが、公園はこの銅像以外には東屋と風力発電の風車があるだけです。とはいえ東北の日本海側ですからサンセット・スポットですし、海岸を歩いて漂着物を探すのは楽しいことかもしれません。

百三段

ももさだカエルが設置されているのは、秋田市に注ぐ雄物川(おものがわ)放水路近くです。最寄り駅は羽越本線の新屋駅になります。Google Mapでルート検索すると駅から徒歩41分のようです。

新屋駅付近
新屋駅付近(地理院タイルを加工)

「ももさだ」の名称は、この地域の旧称である「百三段」に由来するそうです。「毛々左田」表記もあるようですから、音を借りただけで「百三」に意味はないわけです。面白そうですので、地理院地図で「数字+段」の地名を集めてみました。

  • 一段(京都)京丹後市
  • 二段滝(広島)安芸太田町
  • 銚子口二段滝(山梨)富士川町
  • 二段の滝(北海道)富良野市
  • 二段ノ滝(長野)松本市
  • 三段山(北海道)上富良野町
  • 三段峡、奥三段峡、三段滝(広島)安芸太田町
  • 三段ノ滝(北海道)雨竜町
  • 三段ノ滝(北海道)北竜町
  • 三段滝(北海道)芦別市
  • 三段の滝(北海道)恵庭市
  • 三段の滝(北海道)登別市
  • 三段の滝(群馬)南牧村
  • 三段の滝(富山)砺波市
  • 三段池公園(京都)福知山市
  • 三段、三段壁(和歌山)白浜町
  • 五段山(福島)喜多方市
  • 七ツ釜五段の滝(山梨)山梨市
  • 五段の滝(三重)松阪市
  • 五段の滝(和歌山)有田川町
  • 五段滝(岡山)新庄村
  • 五段城(愛媛)久万高原町
  • 六段沢(北海道)大樹町
  • 巴六段(福島)郡山市
  • 上賀茂六段田町(京都)京都市北区
  • 七ツ段(福島)二本松市
  • 七段ノ滝(長野)松本市
  • 九段ノ滝(青森)十和田市
  • 九段北、九段南1~4丁目(東京)千代田区
  • 九段の滝(山梨)北杜市
  • 十二段トンネル、十二段峠、十二段滝(秋田)北秋田市
  • 百段(茨城)常陸大宮市
  • 千段峯(鹿児島)西之表市

最多は種子島の千段峯でした。もちろん、この場合の「千」は「九十九折(つづらおり)」の「九十九」と同じでしょう。

九段坂

千代田区の「九段」の由来は、観光協会によれば次のとおりです。

九段の由来については、江戸城吹上庭園の役人の官舎が坂の途中に9棟並んでいたからとも、江戸時代、急坂で九つの石段上の坂であったからもいわれています。

千代田区観光協会>九段坂

坂道に9棟あって、それぞれに石段があれば同じことかもしれません。千代田区教育委員会は前者の9棟説です。

幕府が四谷御門(よつやごもん)の台地より神田方面に下る傾斜地に沿って石垣の段を築き、江戸城に勤務する役人のための御用屋敷(ごようやしき)をつくったことからです。その石垣が九層にも達したことから、九段という通称が生まれました。

千代田区>町名由来板:九段一丁目

内堀通りと靖国通りが交わる九段下交差点の標高は8mです(赤の丸囲み)。靖国神社の石鳥居の手前の等高線は25mです(赤の三角)。この間の水平距離は約400mで標高差が17mですから、勾配は4.25%となり、斜度なら2.43度です。

九段坂
九段坂(地理院タイルを加工)

17mの高低差を9段で解決するには、1段あたり1.88mです。石段-フラット-石段-フラット…が9回繰り返されるパターンだったのかもしれません。

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