伊良湖（いらご）岬のアメダス伊良湖（いらこ）

先月、「道の駅伊良湖クリスタルポルト」がリニューアルオープンしています。施設内には伊勢湾フェリー旅客ターミナルや「やしの実博物館」があります。博物館は入場無料ですので、出港までの時間つぶしになります。リニューアル前に撮影されたストビューです。

島崎藤村が「椰子の実」を書いたのは1900年だそうです。藤村は柳田国男から渥美半島の先端太平洋側にある恋路ヶ浜に流れ着いた椰子の実の話を聞いたようです。NHK大阪放送局が大中寅二に依頼して唱歌「椰子の実」が誕生したのは1936年ということです。

渥美半島観光ビューローでは、石垣島沖から椰子の実を投流する「愛のココナッツメッセージ・やしの実投流」というイベントを1988年から続けています。

石垣市観光交流協会によると、これまでに今年の分を含め３７４４個のヤシの実が投げ入れられ、１４９個が漂着。渥美半島には４個がたどり着いている。
八重山日報＞ヤシの実50個を投流３年ぶり田原市から参加も　2022/6/3

石垣島で3744個を流して渥美半島漂着が4個なら、1000分の1の確率です。なかなか上出来と言えそうです。漂着箇所の最北端は山形のようです。

私は渥美半島先端の伊良湖岬は「いらご」と読むものだと覚えていました。フェリーでもそうアナウンスされていました。実際、田原市立伊良湖岬小学校も、伊良湖シーサイドゴルフ倶楽部も、伊良湖オーシャンリゾートも、伊良湖岬灯台も、海図も「いらご」です。

ところが、気象庁Webサイトでは濁らずに清音の「いらこ」なのです。

伊良湖は古く万葉集から歌われている名所であり、西行法師や松尾芭蕉も訪れています。「伊良虞」や「伊良子」の字が当てられていたようです。わざわざ英虞湾の「虞」が使われているなら、昔から濁音だったはずです。

「伊良湖」を「いらこ」と読むと、まるでそういう湖があるかのような誤解を招きかねません。個人的には「いらこ」読みに強い違和感があります。

伊良湖村（いらごむら）は、愛知県渥美郡にあった村である。

現在の田原市西部（伊良湖町・日出町など）に該当し、渥美半島最先端に位置する。地名の読みは「いらこ」ではなく、濁って「いらご」である。
Wikipedia＞伊良湖村　（2023/07/08閲覧）

ただ、「いらこ」読みがなかったわけでもないようです。日本海軍の運送艦「伊良湖」は「いらこ」です。伊良湖休暇村は2016年まで「いらこ」でした。

もし「伊良胡」なら「こ」or「ご」で迷うところです。「伊良湖」では常識的に「こ」と読んでしまいます。「湖」を採用した時点で誤読は避けられないものだったかもしれません。なお、Google日本語入力でもMS-IMEでも、「いらご」と「いらこ」の両者で「伊良湖」に変換可能です。

伊良湖測候所の創設は1946年3月のようです。気象庁サイトで観測データを確認できるのは1947年1月1日以降です。1997年に無人化され特別地域気象観測所に移行しています。

中央構造線上にある渥美半島の三河湾側です。標高は6ｍとされています。

マーカーの位置が観測露場になります。取付道路を残して敷地の大半は売却されたものと思われます。周囲は平地です。

年平均気温の推移は次のとおりです。

日最高気温25度以上の夏日の日数は次のように推移しています。

2020年の観測値は次のとおりです。日照時間は全国14位でした。年平均気温17.2℃は伊良湖における観測史上1位です。

▲伊良湖の2020年観測値

2021年は次のとおりです。年降水量が2200ミリを超えたのは4回目になります。

▲伊良湖の2021年観測値

2022年の平均気温は17.0℃で、4年連続の17℃台でした。