日韓トンネル看板が教会退去後6年外されず

退去後6年以上も看板が残存

廃業したパチンコ店の建物に世界基督教統一神霊協会・佐賀教会が移転したのは2013年2月です。地元自治会から反対の声が上がったことから、当時の佐賀市は建物の用途変更申請を保留して、代替地を提案するなど一定の抵抗を示したようです。

これに対して教団側は佐賀市を提訴し、許可が得られるまでの旧施設の賃貸料など310万円の支払いで和解が成立しています。教会は無事に移転したわけです。

【外部リンク】
■やや日刊カルト新聞>統一教会、佐賀市に因縁つけ市民の血税から310万円をせしめる 2012年11月29日
■佐賀市>平成24年11月 記者会見

移転前の佐賀教会は佐賀市兵庫南1丁目にあったようです。最古2013年2月のストビューは移転した直後に撮影されたものと思われます。奇異なのは、移転から6年後の2019年5月撮影のストビューでも、この看板(↓)が残っていることです。

看板は「国連NGO認定 IIFWP 佐賀平和大使館」が掲げた日韓トンネルに関するものです。「有明国際空港」が佐賀空港のことなのかどうかはわかりません。

教会施設は移転したのに、看板は6年以上残っているのです。これは別に不思議なことではないのかもしれません。賃貸借契約は建物所有者と教団が結んでいて、看板はIIFWP(世界平和超宗教超国家連合?)が別途契約していれば起こり得ることです。ただ、窓は塞がれてしまいますけど…。

空き家?だった建物には2020年10月以降のストビューでは株式会社ドリームテックさんが入居して、看板は消えています。どうやら地盤調査や解体工事を行う建築系の会社のようです。

日韓トンネル

対馬海峡

日韓トンネルを担っている旧・統一教会(統一協会)系の団体は「一般社団法人国際ハイウェイ財団」です。2016年には唐津の斜坑現場を韓鶴子総裁ご一行が訪れています。

「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトを提唱された、故・文鮮明総裁の令夫人、韓鶴子(ハンハクジャ)総裁が11月14日、唐津名護屋斜坑現場に初めて来所され、トンネル内部や展望台を視察されるとともに、今後多くの協力者の支援を祈願され、早期実現に向けて激励をして行かれた。

一般社団法人国際ハイウェイ財団>韓鶴子令夫人が唐津現場を視察-現場だより11月号

この当時はまだ「ハクチャ」ではなく「ハクジャ」が通用していたようです。山本朋広代議士によるマザームーン連呼は翌2017年5月の「孝情文化フェスティバル in TOKYO」での発言ですので、読み方がわからなかったという言い訳については正当なものだと私は認めます。

さて、国際ハイウェイ財団の本部事務局はおなじみ成約ビルです。唐津市の現地事務所は玄海町との市町境の近くです。トンネルは2006年時点で斜距離547mまで掘り進められているということです。

国際ハイウェイ財団 唐津事務所
唐津事務所(地理院タイルを加工)

財団が所有している土地は対馬が約28万㎡、壱岐が約1.7万㎡、唐津が約16.5万㎡だそうです。唐津の土地は元は牧場ということです。いずれにしても、標高70m前後の当地からトンネルで海に出るには国道の下を掘ることになってしまいます。

私有地内でトンネルを掘るだけなら届出が必要な開発行為には該当しないそうです。どのみち所有地の外まで掘るつもりはないのでしょうが…。

だいたい民間団体が掘ったトンネルをもし実際に使うなら、サイズも位置も何より安全性についても妥当かどうかが問われるわけです。試掘の域を出ないデモンストレーションにすぎませんので、今以上の進展は当面はなさそうです。

国際ハイウェイ財団(IHF)

主に財団のWebサイトから年表をつくってみました。今回の事件前には細田衆院議長が顧問を務めていたようです。

1981年11月文鮮明氏がソウルで開催された第10回「科学の統一に関する
国際会議」で「国際ハイウェイプロジェクト」を提唱
1982年4月日本で「国際ハイウェイ建設事業団」創設
(会長:久保木修己、理事長:梶栗玄太郎)
1982年6月佐賀、壱岐、対馬で地表調査開始
1983年5月「日韓トンネル研究会」設立
(会長:佐々保雄、代表呼びかけ人:松下正寿)
1986年10月「日韓トンネル名護屋調査斜坑」起工式
2009年1月事業団を継承した「一般社団法人国際ハイウェイ財団」が
新たに設立(会長:徳野英治、理事長:梶栗玄太郎)
2021年(会長:梶栗正義)
▲国際ハイウェイ財団>沿革 など

会長は久保木修己→徳野英治→梶栗正義の各氏ですが、久保木氏死去後がすぐに徳野氏だったかどうかは確認できませんでした。理事長は2012年の梶栗玄太郎氏死去のあと大江益夫氏、山岡建雄氏を経て佐藤博文氏が現職と思われます。

【2023/10/04追記】事業団時代に大塚克己氏が理事長だった時期があるようです。

大江氏は本部広報部長、山岡氏は「777双」で出版局長経験者です。また、大塚克己・元日本教会会長の子息と思われる大塚正尚氏が副理事長のようです。少なくとも2011-18年当時の唐津所長は大久保義孝氏です。

韓国側では、鮮文大学校の総長を10年以上務めた尹世元氏が1986年に設立された「国際ハイウェイ研究会」の初代会長だったようです。もうご存命ではなかろうと思われますが、その後はさっぱりわかりません。

韓国は左ハンドル右通行です。日本領の対馬までは左通行でしょうが、もし繋ぐならどこかでチェンジする必要があります(警察や消防も)。ちなみに、香港とマカオ(または中国)を結ぶ港珠澳大橋では、香港とマカオは左側通行、橋だけ中国式の右側通行です。

間違って両国間の合意が得られたとしても、人口減少・高齢化まっしぐらの国同士です。コスパ的にどうか以前に、建設作業員を確保できるのかという、より現実的で深刻な問題がありそうです。

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