三熊山から移転
狸伝説が有名な淡路島ですが、芝右衛門狸(しばえもんだぬき)一家は洲本城が聳える三熊山(みくまやま)をすみかとしていたそうです。三熊山とは本来は高熊山・乙熊山・虎熊山の総称ですが、洲本城=三熊山が定着しているような気配もあります。
淡路島や佐渡島には熊はいないということです。ツキノワグマが生息する島は、本州島、四国島、台湾島、海南島の4島のようです。佐渡島には鹿や猪もいないそうですが、淡路島ではイノシシは当然として、シカに出くわすこともあります。
洲本測候所は2003年に無人化されています。三熊山にある洲本城跡の近くでした。洲本城天守台の標高は125m、測候所の標高は109mだったようです。市街地を見下ろす立地です。
無人化された洲本測候所は洲本特別地域気象観測所として観測を続けていましたが、2017年11月に直線で約6キロ離れた城戸アグリ公園に移転しています。ギリギリ洲本市内です。
洲本特別地域気象観測所の標高は68.8mとされていますが、地理院地図では標高65mの等高線が通過しています。
継続性なし
移転後の観測露場はどうやら盛土されているようです。フェンスの入口に3段ほどのコンクリ階段が見えます。風速計の柱はこれまで見たことがないレベルの太さです。
移転したのは2017年11月30日のようです。10分ごとの観測値が9時10分から20時40分まで欠測になっています。
2012年1月から2023年9月まで(欠測のある2014年12月、2017年11月、2020年2月を除外)の月平均気温を移転前と移転後で比較してみました。
3月は1.9℃、9月は1.6℃高くなっています。移転前の最高気温1位は1967年8月17日の36.7℃でした。移転した最初の夏、2018年7月24日の日最高気温は37.1℃です。2020年8月17日には38.0℃をマークしています。
というわけで、気象庁的にも継続性を認めない赤線表示です。
発掘調査中
観測環境の悪化で主体的に移転することもありますが、観測所の移転の多くは外的要因です。洲本城付近では遺跡調査が行われているようですので、立ち退きを迫られたのではないかと思われます。
旧測候所と紀淡海峡を隔てたアメダス友ケ島との直線距離は約11キロでした。島の中央部に寄ったのはそういう事情なのだろうと思われます。
断絶を無視して、年平均気温をグラフ化してみました。
夏日の日数は次のように推移しています。2023年は
森林の山頂から放射冷却の効く平地に移ったことで、冬日についてはそこまでの変化は見られません。
2020~2022年の観測値
アメダス洲本の2020年から2022年の観測値は次のとおりです。
年降水量 | 1772.5ミリ | 671位 | /1293地点 |
年平均気温 | 16.7℃ | 178位 | /922地点 |
年最高気温 | 38.0℃ | 115位 | /922地点 |
年最低気温 | -2.3℃ | 197位 | /922地点 |
年較差 | 40.3℃ | 641位 | /922地点 |
年平均風速 | 3.7m/s | 113位 | /921地点 |
年日照時間 | 2048.1時間 | 150位 | /841地点 |
年降水量 | 1765.5ミリ | 687位 | /1293地点 |
年平均気温 | 16.5℃ | 212位 | /921地点 |
年最高気温 | 37.2℃ | 102位 | /921地点 |
年最低気温 | -1.8℃ | 79位 | /921地点 |
年較差 | 39.0℃ | 751位 | /921地点 |
年平均風速 | 3.6m/s | 129位 | /920地点 |
年降水量 | 976.5ミリ | 1191位 | /1285地点 |
年平均気温 | 16.5℃ | 197位 | /916地点 |
年最高気温 | 36.7℃ | 216位 | /916地点 |
年最低気温 | -2.1℃ | 133位 | /916地点 |
年較差 | 38.8℃ | 725位 | /916地点 |
年平均風速 | 3.5m/s | 138位 | /915地点 |
年日照時間 | 2133.9時間 | 144位 | /842地点 |
2022年の年降水量は1000ミリを切っていますが、瀬戸内気候なら納得です。有人観測だった2003年まで積雪も観測されており、最深積雪は1931年の18センチです。
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