国東半島のアメダス国見が移転していた

「前」にあるのが「先」です。弘前の「前」を「さき」と読むことにさほどの抵抗はありません。国東の「東」を「さき」と読むのは（「さき」に「東」を当てるのは）ちょっと無理があるような気もします。

風土記の國埼郡の条によれば、國埼郡の名は、景行天皇が海路で巡幸し、この地にさしかかった時に「彼（そ）の見ゆるは、若（けだ）し、国の埼（さき）ならむ」と言ったことに因んで付けられたとされる。
Wikipedia＞国東郡（2023/12/20閲覧）

ヤマトタケルの父が第12代・景行天皇です。在位期間は60年とされています。「海路で巡幸」とのことですが、どの方向から九州に向かったのか気になります。

今の国東市はピンクの線の東側です。もし景行天皇が瀬戸内海を西進したのなら、国東半島は進行方向の正面に見えるはずです。この場合は「国の先（東）」とは言わないのではないかと思われます。防府または宇部から南進したのだとすると「国の先（東）」はあり得ます。

景行天皇の九州巡幸は熊襲征伐が目的です。足取りは防府→行橋→碩田（大分市）だそうです。海路は小野田－行橋だったのかもしれません。この場合、「国の先（東）」は進行方向の左手になり、「東」を当てることに妥当性がありそうです。

アメダス国見は1年前に移転しています（長崎のアメダス国見山は2009年11月廃止＝雨量のみの観測所）。

【外部リンク】
■気象庁＞国見地域気象観測所の移設のお知らせ　令和4年12月6日

移転前は姫島航路の伊美港に向かう国道213号線沿いでした。コロナ禍の夏に姫島に行ったとき、国道から風速計が見えたのを覚えています。

標高は14ｍとされていました。移転後の標高は53ｍです。風速計は6.5ｍから10ｍになっています。

アメダス国見の最大瞬間風速は2015年8月25日の23.2m/sでした。石垣島で71.0m/sを観測した2015年台風15号によるものです。移転後の今年は、迷走した台風6号によって2日連続で更新されました。

アメダス国見の年平均気温は次のように推移しています。

40ｍとは言え、移転で標高が高くなった今年は従来より若干下がるはずですが、それでも17.2℃が見込まれており2016年と並ぶ観測史上1位になりそうです。

▲各月の平均気温

最高気温25℃以上の夏日の日数は次のとおりです。2023年は126日でした。8年ぶりの120日台です。やはり標高が高くなったことが影響したものと思われます。

2020年から2022年の観測値は次のとおりです。最高気温37℃台は過去2回しかありません。最低気温は1981年2月26日のマイナス6.0℃がレコードです。

▲国見の2020年観測値

▲国見の2021年観測値