多治見北消防署が来春移転、アメダス多治見はどうなる?

隣接倉庫の撤去

アメダス多治見に隣接して設置されていた倉庫?が撤去されています。2024年4月撮影のストビューです。車の上に見えるのが雨量計、風速計に取り付けられているのが通風筒です。緑のポールは消防署備え付けの防災無線でありアメダスとは関係ありません。

アメダス多治見

以前は、この角度では雨量計も温度計内蔵の通風筒も見えませんでした。倉庫のようなものが建っていたからです。撤去前の航空写真です。

倉庫撤去前

2023年12月撮影の航空写真では、敷地境に設置されていた倉庫が撤去されています。新たにアスファルト舗装されていることがわかります。

倉庫撤去後

Googleマップが示す赤マーカーは厳密には正確ではありません。赤マーカーが置かれているのは防災無線区画であり、アメダスはその西隣のちょっといびつな形の防草シート区画です。

消防署の移転

このアメダス多治見には3つの懸念がありました。(1)周囲のアスファルト比率が著しく高いこと、(2)北側が法面になっていること、(3)西側に倉庫があること、です。観測環境としては必ずしも好ましい立地ではないように思えます。

このうち(1)と(2)はどうしようもありませんが、(3)については2023年夏より前に解消されたわけです。隣接土地の所有者とみられるのは株式会社リアンさんですが、同名の法人は岐阜県内だけでも複数あります。どうやら就労支援施設のようです。

アメダスの敷地は多治見市の北消防署内です。この消防署は1971年築だそうです。アメダス多治見は1976年4月から雨量観測を、1978年11月から気温や風速の観測を始めています。すくなくとも消防署ができた時点では、今のリアンさんの土地に建物はありません。

アメダスから何m以内には建物は建てられないという法的規制はありません。それに、撤去された倉庫?は建築確認申請が不要な規模かもしれません。いずれにせよ、倉庫?を建てた側に非はなく、そこまで私権を制限する規定がありません。

消防署にとってもアメダスは必要不可欠なものではありません。むしろ渋々受け入れたのが本音に近いものと思われます。建物ができた後に持ちかけられた話なら、設計段階では考慮外のはずです。消防署に善処を望むのも筋違いですし、敷地内移転できるスペースもありません。

市内には3つの消防署があり、北消防署の管轄は主に中央本線以北ということです。老朽化した北消防署は現在地から直線距離で2.5キロほど離れたところに新庁舎を絶賛建設中です。

多治見北消防署の移転
多治見(地理院タイルを加工)

40℃最多8回のアメダスはどうなる?

新庁舎の地鎮祭は2024年8月で、北消防署は2026年4月1日から新庁舎で任務に当たるようです。消防署は必要な施設ですが、近隣住民からすると嫌悪施設です。比較的反対されにくいところが選ばれています。市は防災拠点化するようです。

多治見北消防署新庁舎建設予定地

アメダス多治見は日最高気温40℃以上を8回観測していますので、その行く末には注目せざるを得ません。気象庁発表済みの年内の移設計画に多治見は入っていません。問題は北消防署移転後、跡地がどのように利用されるかです。

たとえば公園のような形で再利用されるのなら、アメダスが移転する必要はありません。何らかの施設が建設されるのなら、お引越しを余儀なくされることになります。

市議会だより
市議会だより2023年8月号

もう決まっていても不思議ではありません。老朽化して役目を終えた建物を一時的に貸会議室や防災体験施設のような形で残したとしても、維持費用がかさみそうです。

一般的にアメダスの移転は市街地から郊外への移転です。設置当時は基準をクリアしていても、隣接土地に対する特別の建築制限や利用制限がないことから、周辺環境は変化していくものです。今後もそれが起こり得る市街地より当分はなさそうな郊外に移転することになります。

気象庁的には、あくまでも同一地点で継続して観測を続けることが目的であり、最高気温の全国1位を決めるレースをしているのではありません。多治見が移転すると、今より観測環境としてはよくなるはずです。つまり、あまり高温は出なくなる可能性のほうが高そうです。

館林でも越谷でも中条でも、観測箇所が変わって発表される数値が下がっただけで、従来の観測所付近の温度が下がったのではありません。

多治見では生きていけない

アメダス多治見の2023年と2024年の観測値は次のとおりです(→2020~2022)。

年降水量1627.0ミリ630位/1286地点
年平均気温16.2℃307位/917地点
年最高気温39.2℃23位/917地点
年最低気温-5.6℃303位/917地点
年較差44.8℃461位/917地点
年平均風速1.2m/s805位/916地点
年日照時間2367.8時間78位/844地点
▲2023年の観測値(第3列の順位は降順)
年降水量1973.5ミリ554位/1285地点南紀白浜
年平均気温16.7℃293位/916地点彦根
年最高気温39.3℃32位/916地点太宰府
年最低気温-5.1℃419位/916地点女川
年較差44.4℃274位/916地点熊谷
年平均風速1.2m/s825位/915地点青梅
年日照時間2188.3時間115位/843地点蒲江
▲2024年の観測値(第6列は同水準地点)

多治見の年平均風速は6年連続で1.2m/sです。高低差10m以上の法面の下はやはり風速観測には不適なのでしょう。アメダス多治見は多治見駅北口から直線で1.8キロぐらいですが、うながっぱ温度計は百葉箱とともに南口に設置されています。

2017年7月、35.3℃を観測した多治見でNHKのインタビューに応じたメガネJKは「これでへばっていては多治見では生きていけない」と答えました。うながっぱ温度計から180mほど離れた同じ南口のスクランブル交差点でした。

どうせなら、市内でもっとも暑くなりそうな地域に市有地スペースを確保して、ここが空いてますよとこっそり囁やけば最高気温日本一が奪還できるかもしれません。あの名ゼリフから「生きていくんだ公園」と命名してほしいものです。

多治見の猛暑日
気象庁>多治見(岐阜県) 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)

ちなみに、多治見の猛暑日は去年51日を数えました。多治見としては大幅更新ですが、去年は西日本各地で更新しましたので、太宰府62日、日田57日、豊田55日、京都や久留米の54日などには及びません。生きていけないのは多治見だけではないのです。

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