2018年台風24号はアメダス宮城島の風速計も破壊

与勝諸島

沖縄本島中部の東海岸に勝連(かつれ)半島という太平洋に突き出した出っ張りがあります。半島の北東側に連なるのが与勝諸島です。

与勝諸島
与勝諸島(地理院タイルを加工)

与勝諸島の有人島は4つです。勝連半島と県道10号線の「海中道路」で接続しているのが平安座島(へんざじま)です。平安座島の北東に位置するのが宮城島(みやぎじま)です。両者は狭い海峡で隔てられています。宮城島の北には伊計島(いけいじま)があり、伊計大橋が架かっています。

4つの有人島
4つの有人島(地理院タイルを加工)

石油基地の島・平安座島の南には浜比嘉島(はまひがしま、はまひがじま)があり、浜比嘉大橋が架橋されています。地図の左下に見える藪地島(やぶちじま)は無人島です。

海中道路と桃源郷ならぬ桃原橋

「海中道路」は今では著名な観光スポットの1つです。橋を架けたわけではなく、干潮時には歩いても渡れたという浅瀬の上に堤防のように築造された道路です。橋は路面の下を船が通行する立体交差ですが、「海中道路」は水面が近いのです。

水門の関係で多少のアップダウンはありますが、「海中道路」の名称は誇張でも伊達でもありません。中央分離帯付きの片側2車線道路は、もともとは石油精製基地のパイプライン敷設のためにガルフ社が埋め立てたもののようです。

開通したのは沖縄本土復帰直前の1972年4月です。翌1973年は第1次オイルショックです。ガルフ社が同じセブンシスターズのソーカルと合併したのは第2次オイルショック後の1984年です。

平安座島と宮城島を繋ぐ橋は「桃原(とうばる)橋」という名前のようです。島と島を隔てる水面は一般的には海峡と言われるはずです。桃原橋を車で通っても、レンタチャリや徒歩で渡っても、この海峡は川(運河)だと誤解されるでしょう。両サイドから埋め立てが進んだ結果です。

アメダス宮城島

桃原橋を渡った宮城島にアメダス観測所があります。灌漑用ため池と思われる施設の端です。2018年9月29日11時10分のアメダス宮城島の観測値は、10分降水量2mm、気温25.7℃、10分間の平均風速が南東の風31.5m/s、最大瞬間風速は46.2m/sです。

11時20分から風速・風向の記録は途絶えており、10月1日の16時40分に復活しています。53時間もの空白が生じているわけです。アメダス奥と同様に気温と降水量は記録されていますので、停電等による施設全体の問題ではなく、風速・風向計単独のアクシデントだと思われます。

台風24号は沖縄近海で滞留していました。沖縄はほとんど丸1日に渡って暴風域内にありました。午前7時以降の10分毎の平均風速は例外なく30m/s以上であり、最大瞬間風速もことごとく40m/s以上です。

【外部リンク】
国際気象海洋株式会社>台風24号進路図

アメダス宮城島の2020年観測値は次のとおりです。平均気温と最低気温は高いほうから25位と22位ですが、最高気温は32℃台です。35℃以上は2017年に1回あるだけです。2020年の年較差は小さいほうから全国8位タイになります。

年降水量2194.5ミリ414位/1293地点
年平均気温23.0℃25位/922地点
年最高気温32.5℃800位/922地点
年最低気温9.6℃22位/922地点
年較差22.9℃914位/922地点
年平均風速5.5m/s18位/921地点
年日照時間1833.9時間358位/841地点
▲アメダス宮城島の2020年観測値

平均風速も全国18位です。気象庁の「地域気象観測所一覧」ではアメダス宮城島の標高は100mとされていますが、地理院地図では92.2mの三角点より低い位置にあります。90mの等高線と80mの等高線の間です。地形的には高台にあることに変わりはありません。

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