コロナ禍の帰省や来島をめぐる鹿児島の離島事情

お盆帰省をめぐる47都道府県知事の発言を整理しているうちに、鹿児島で深みにハマってしまいました。

鹿児島高専

鹿児島高専は校長名で帰省後2週間未満のOB・OGや「かつての同級生」とは会わないように「お願い」しています。4年に進級せず大学に進学した「かつての同級生」が出てくるのは高専ならではです。

今後、みなさんの先輩やかつての同級生で、または親戚などで県外から帰省してきた場合にも、少なくても帰省後2週間以内の方々とは、直接会ったり、一緒に食事をしたり、遊びに行くことを自粛してくださるようお願いいたします。

鹿児島工業高等専門学校>新型コロナウイルスの影響で鹿児島に帰省する人たちとの接触について

感染拡大地域から帰省した同居者がいる場合などは、自主的に休んでもその旨を連絡すれば欠席扱いにはしないということです。休み明けに戻ってからは寮生活になるわけですから、こちらの措置は理解できます。

会えば食事かお茶ぐらいはするものでしょうが、対面せずに食事することまでは認められるべきであって、「会うな」は人権侵害のレベルではないかと愚考する次第です。鹿児島高専は4月20日から5月1日まで休校、5月2日から22日までリモート授業、夏休みは8月8日から16日までに短縮されているようです。

当選したばかりの塩田知事は県本土への帰省自粛を求めていませんが、案外地方の実際の雰囲気を映しているのかもしれません。こうした温度差は容易には埋められないようです。


さて、鹿児島県には長島列島や馬毛島、新島(燃島)を加えれば31の有人島があります。長島は出水市との間が架橋されており、伊唐島と諸浦島も長島を通って車で行けます。そういう意味での有人島は28です。

ほとんどの離島では来島は歓迎されず、2週間前からの行動記録を求められることもあるようです。

上甑島、中甑島、下甑島

2004年の合併で甑島全域は薩摩川内市に属しています。本土とのアクセスは串木野新港からフェリー、川内港から高速船です。川内港は市街地からかなり距離があります。

甑島
甑島(地理院タイル

国による新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が全国で解除され、6月19日からは、すべての県をまたぐ移動についても再開されていますが、再び流行しはじめ、全国・鹿児島県、離島へも感染が広がっています。
本市甑島では、6月19日から県内外との往来自粛について解除しましたが、甑島は人口約4千人、高齢化率50%超の小さな島であり、移動手段も航路に限られ、感染の確率が高く、また、島内の医療機関や医療従事者の数も限られているなど医療環境は脆弱で、発生時の対応に限界があることから甑島への往来については、引き続き慎重な対応をお願い申し上げます。

こしきしま観光局>【7月31日(金)】甑島と本土との往来について(お願い)

竹島、硫黄島、黒島

人口400人の三島村へのアクセスは鹿児島港から出港しているフェリー「みしま」にほぼ限られます。硫黄島まで4時間ほどです。硫黄島には600m滑走路の空港がありますので、定員3名のセスナが週2便運行されています。片道2万円で所要時間は50分だそうです。

三島村
三島村(地理院タイル

本村は、へき地診療所に看護師1名の医療体制です。村内で検査はできず、入院できる医療機関もありません。感染者が発生すれば、対応は非常に困難であるため「島内にウイルスを持ち込ませないこと」が本村最大の課題になります。市中感染が起こっている以上、一人ひとりが「感染しているかもしれない」という危機意識をもって自覚と責任ある行動をしなければ、感染を防ぐことはできません。

どうか、この現状にご理解いだだき計画中のご旅行や帰省、出張などの延期や中止を選択していただきますようお願いいたします。その選択が、きっとご自身や周りの大切な人を守ることに繋がります。

検討した結果、やむを得ず来島される場合は、以下の感染対策へのご協力をお願いいたします。
(1)入島前2週間の健康観察を実施してください。健康観察票を乗船前の検温時にご提出ください。
(県外の方は、鹿児島県内での入島前2週間の健康観察をご検討ください。)
(2)船内および島内では必ずマスクを着用してください。島内でマスクは販売していません。
必ず滞在日数分のマスクをご持参ください。
(3)船内および島内ではこまめな手洗いや手指消毒をしてください。
(4)集団で集まることや島民との不要な交流は避けてください。3密回避の行動をお願いします。
(5)島内でケガや熱発等の症状がある場合、診療所は直接受診せず、まずは診療所に電話をして下さい。

自粛要請ばかりでつらい日々が続きますが、一緒になって乗り越えましょう。

一日も早く新型コロナウイルスが収束し、皆さまに三島村へお越しいただける日を楽しみにしております。

三島村>村外から来島されるすべての方へのお願い

いくらGoToと言われようとも、そう簡単に三島村に行けるものではなさそうです。→「健康観察票」

種子島、屋久島、口永良部島

種子島は西之表市、中種子町、南種子町の3自治体、屋久島は全島が屋久島町です。4首長の連名で「種子島・屋久島への来島を予定されている皆様へ」と題する8月1日付のメッセージが出ています。

 全国で新型コロナウイルスの感染が再び拡大するなか、鹿児島県(離島を含め)でも新たな感染者が相次いで確認されています。
 離島である種子島・屋久島でも同様の事態が生じた場合、医療体制の脆弱さもあり医療崩壊など大きな影響が考えられます。
 今年の夏、種子島・屋久島への来島を予定されている皆様には、感染予防の観点から次のことをお願いします。
 ・マスクの着用、手指消毒、身体的距離の確保などの感染症予防に努めて下さい。
 ・来島前、来島後において、毎日の体調、行動履歴等を把握して下さい。
 ・体調がすぐれない時は、来島の延期や中止を検討して下さい。
 ・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)等を活用して下さい。
 種子島・屋久島は、高齢者の多い地域でもあり、島で感染が拡大した場合、憂慮すべき事態に発展することは容易に想像できます。
 自分が感染しない、他人に感染させないために、「新しい生活様式」の実践を含む最大限の配慮をお願いいたします。

西之表市>種子島・屋久島への来島を予定されている皆様へ(8月1日更新)

屋久島の西にある口永良部島は、新岳の噴火で2015年5月に全島避難を余儀なくされています。今でも警戒レベル3の入山規制中です。フェリーは1日1便で、空港はなくヘリポートがあるだけです。帰省はともかく観光はコロナ以前の問題かもしれません。

中之島、口之島、平島、諏訪之瀬島、悪石島、小宝島、宝島

十島村も無医村で看護師のみの診療所しかありません。

十島村
十島村(地理院タイル

〇十島村へ来島される方へ
 観光やレジャー、帰省などを目的とした不要不急の移動は、当面の間、自粛をお願いいたします。以降は、感染の状況を踏まえて検討いたします。また、業務などの移動で、延期ができない場合は、下記の対応をお願いいたします。
1.入島2週間前からの健康チェック表による体調管理を行ない、乗船窓口にてご提示ください。
2.島内では、島民との不要な交流、集団での集まり、その他3密(密閉・密集・密接)を避けて下さい。
3.滞在中は、毎日検温と健康チェックをおこなって下さい。
4.船内・島内でのこまめな手洗いや手指消毒に努めて下さい。
5.船内・島内ではマスクを着用して下さい。(熱中症にはご留意の上、着用をお願いします。)
6.マスクと検温用の体温計をご持参下さい。

十島村>鹿児島県内における新型コロナウイルスクラスター感染発生以降の村の対応について(7/8)

来島自粛要請は解除されていないはずです。

奄美大島

奄美大島の5市町村長も7月25日付で「全国及び奄美群島内での新規感染者数増加の現状を踏まえて」と題する共同メッセージを出しています。比較的緩めです。

ご来島いただく皆様におかれましても、来島前からの体調管理をはじめ、滞在中の感染防止対策への一層のご協力をお願い申し上げます。

奄美市>全国及び奄美群島内での新規感染者数増加の現状を踏まえて

空港でも港でもサーモグラフィーや非接触式体温計でのスクリーニングは実施されていますが、もちろん無症状ならすり抜けることになります。

喜界島

喜界島へのアクセスは鹿児島空港から1日2便、奄美空港から1日3便です。「喜界町新型コロナウイルス感染症対策本部長」名で次のようなメッセージが出ています。一般的には対策本部長=自治体の長です。

新型コロナウイルス感染症については、同じ離島の与論町でクラスターが発生するとともに、都市部を中心に感染者が急増し、全国的に拡大傾向にあります。

喜界町は離島という地域柄、医療体制が十分に整っておらず、重症化リスクが高い高齢者の方も多くいらっしゃいます。夏休みやお盆のシーズンを迎え、人の移動が活発になることが予想される中、引き続き強い危機意識を持って感染症の発生防止、感染拡大防止に努めてまいります。

お盆休みでの帰省や休暇を利用した観光等での来島を予定されている方につきましては、旅行2週間前から毎日検温を行うなどの健康観察を行ってください。発熱の症状があるなど健康状態に少しでも懸念がある場合は来島を控えてください。

また、来島の際には、手指消毒やマスクの着用など、感染防止対策を万全に行ってください。特に高齢者や基礎疾患のある方と会われる際には、細心の注意を払ってください。

来島を予定されている皆様は、お住いの自治体の自粛要請等の趣旨に沿って慎重に判断してください。

喜界町>喜界町からのメッセージ(8/7)

PCR検査の検体採取は島内でもできるということですが、検体は奄美大島か鹿児島市内に空輸することになるものと思われます。

徳之島

合併不発の徳之島は3町に分かれたままです。観光連盟のWebサイトに「ご来島(観光、帰省、仕事など)を考えていらっしゃる皆さまへのお願い」が掲載されています。あいにく日付を確認することができませんが、アクティブ情報と理解してよさそうです。

島内でも様々な施設、店舗で営業を自粛しており、本来の徳之島を体感していただくことが難しい状況です。

これまで皆さまにご来島いただきご満足していただけるよう頑張ってきた様々な施設、店舗、団体、地域の皆さんが、今、非常に苦しい状況の中、踏ん張っています。

新型コロナウィルス感染症が終息するまでの間、何とか知恵と工夫で耐え抜き、皆さんをお迎えする準備を全力で整えて参りますので、今しばらくご来島を控えていただけると幸いです。

また、終息しましたら、是非徳之島へ足を運んでいただき、思う存分徳之島の魅力を満喫していただければと思います!!

徳之島観光連盟>【重要】新型コロナウィルス感染防止のためのお願い

沖永良部島

徳之島と与論島の間にあるのが沖永良部島です。沖永良部島の2町も合併不発でした。島の観光協会Webサイトに次のようなページがあります。

「今そちらに旅行に行ってもいいのでしょうか?」

沖永良部島だけでなく、全国離島の観光事業者のもとには現在このようなお問合せが多く寄せられています。

この質問にお答えするのは本当に難しいのですが、コロナ禍の収束が見えない中での旅は、一つの決意を持った計画が必要なのではないかと思います。
それは、【これから行こうとしている地域も、自らの身も、自分の心掛けや行動で守らなければいけない】ということ。

奄美群島は今が一年で最も輝く季節。
ぜひ多くの皆さまに島の旅を楽しんで欲しい。島で帰省を待っているご家族とのんびりした時間を過ごして欲しい。
だからこそ、旅行者お一人おひとりのご協力が必要です。

おきのえらぶ島観光協会>沖永良部島へのご旅行や帰省をお考えの皆さまへ(8/7)

観光協会の立場では「来るな」とは言えないのでしょうが、この煮え切らない態度はむしろ不安を増幅させます。2003年時点では島内に13名の常勤医がいたようですが、昔すぎて真に受けるわけにはいきません。やはり行政のリーダーシップが必要なはずです。

与論島

与論島では8月8日に55人目となる陽性者が確認されています。もちろん、来島自粛は継続中です。

与論島での新型コロナウイルスの感染確認を受けまして、感染拡大防止への取組を一層強化する必要があります。本島において、8月7日現在で54名の感染者が発生しており、引き続き警戒しなければなりません。
 与論島は医療体制が脆弱な地域であり、高齢化率が高いこと等をご賢察いただき、与論町民の皆様並びにご来島予定の方及び現在ご来島いただいている旅行者の皆様には、引き続き次のことへのご協力をお願いいたします。
(1) 来島者の皆様の安全を守るためにも、与論島への不要不急の来島は、当面の間、自粛していただくようお願いいたします。

与論町>与論町新型コロナウィルス感染症対策本部長メッセージ(8/7)

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