高知のアメダス佐賀は四万十市に合併しなかった黒潮町

2021年9月17日の日降水量

台風14号が福岡に上陸した前日の9月17日、日最大降水量の上位10地点は高知県の観測所によって独占されました。北海道や沖縄、長崎、鹿児島なら起こりうる話ですが、離島に観測所がない高知がTOP10独占というのは、なかなかレアではないかと思われます。

1窪川高知県四万十町367.0ミリ
2中村高知県四万十市260.5ミリ
3大正高知県四万十町239.5ミリ
4佐賀高知県黒潮町229.5ミリ
5須崎高知県須崎市219.0ミリ
6佐川高知県佐川町210.0ミリ
7船戸高知県津野町182.0ミリ
8鳥形山高知県仁淀川町174.5ミリ
9本川高知県いの町169.0ミリ
10江川崎高知県四万十市166.0ミリ
▲2021年9月17日の日降水量TOP10

四国4県のアメダス観測地点は次のように配置されています。

合計官署四点雨量
徳島県10172415km2に1か所
香川県8251235km2に1か所
愛媛県212127270km2に1か所
高知県2541110284km2に1か所
▲四国4県のアメダス観測所数

1か所当たりの面積で徳島が突出しているのはバランスのいい形だからだと思われます。愛媛と高知は東西に長く、香川は陸地の実面積以上のエリアを抱えています。高知の場合、室戸岬から足摺岬までルート検索すると233キロ4時間20分です。

日降水量上位10地点(地理院タイルを加工)

9/17の上位10地点のうち今回は4位・佐賀に着目します。

アメダス佐賀

黒潮町は2006年に大方町と佐賀町が合併して成立しています。もともとは、中村市と西土佐町とともに4市町村による合併協議会を発足させていましたが、大方町の住民投票と佐賀町の住民アンケートで僅差ながら反対多数となり、両町は合併協議会を離脱しています。

大方町佐賀町
賛成2,4411,253
反対2,5571,272
投票率・回収率73.6%70.1%
▲住民投票

どうやら中村市の財政状況が懸念材料だったようです。市と村が合併したのに市の名前に固執しなかった寛大さにはそういう背景もあったのでしょう。

アメダス佐賀は伊与木川河畔の旧・佐賀町役場の近くです。標高は3mとされており、移転はしていないようです。

アメダス佐賀

1977年の観測開始で2022年まで年平均気温が17℃以上は7回あります。そのうち6回は2010年以降で、2022年まで4年連続です。最低気温が氷点下5℃を下回ったのは1995年以来ありません。

アメダス佐賀の平均気温の推移
アメダス佐賀の平均気温等の推移

2020~2022年の観測値

2020年の観測値は次のとおりです。年降水量は平年値で2700ミリ台ですので、もともと多雨地域です(高知では少雨地域かもしれませんが…)。年較差は38℃台です。

年降水量2767.5ミリ196位/1293地点
年平均気温17.1℃132位/922地点
年最高気温36.5℃348位/922地点
年最低気温-1.8℃164位/922地点
年較差38.3℃760位/922地点
年平均風速1.9m/s540位/921地点
年日照時間2133.1時間92位/841地点
▲アメダス佐賀の2020年観測値

2021年の年降水量は2900ミリ台でした。沿岸部とあって35℃以上の真夏日が観測されていません。

年降水量2925.0ミリ139位/1293地点
年平均気温17.1℃124位/921地点
年最高気温34.4℃609位/921地点
年最低気温-3.9℃188位/921地点
年較差38.3℃786位/921地点
年平均風速1.8m/s594位/920地点
▲アメダス佐賀の2021年観測値

2022年の年降水量はアメダス佐賀としては少ないほうから6番目でした。それでも2000ミリは確保しています。

年降水量2088.0ミリ323位/1285地点
年平均気温17.1℃116位/916地点
年最高気温36.2℃296位/916地点
年最低気温-2.4℃158位/916地点
年較差38.6℃737位/916地点
年平均風速1.9m/s538位/915地点
年日照時間2153.0時間131位/842地点
▲アメダス佐賀の2022年観測値

津波の想定高さ34.4mの黒潮町

2019年11月撮影のストビューです。「水曜どうでしょう」で絶賛された黒潮町のうどん屋さんです。四国3では足摺岬の38番・金剛福寺を合成でごまかしながら急いだのに、月曜定休のために再訪できなかった店です。旧・大方町にあります。

いろりや

2012年3月に内閣府が公表した南海トラフ巨大地震の震度分布・津波高の推計では、黒潮町は最大震度7、最大津波高は全国でもっとも大きい34.4mでした。このため、津波避難タワーが6か所設置されています。6か所のうち4か所が黒潮町役場付近の沿岸部です。

旧・大潟町の避難タワー
旧・大方町のタワー(地理院タイルを加工)

2021年6月撮影の町地区避難タワーのストビューです。

津波避難タワー

旧・佐賀町にも2基が設置されています。

旧・佐賀町の避難タワー
旧・佐賀町のタワー(地理院タイルを加工)

黒潮町の小学校

黒潮町には8つの小学校があります。人口1万人規模で小学校8校は多いのではないかという気がしなくもありません。幡多郡と高岡郡の小中学校数を調べてみました。

人口 面積 小学校中学校
幡多郡黒潮町10,275人188km28校2校
幡多郡大月町4,432人103km21校1校
幡多郡三原村1,440人85km21校1校
高岡郡中土佐町6,002人193km23校3校
高岡郡佐川町12,336人101km25校2校
高岡郡越知町5,191人112km21校1校
高岡郡梼原町3,308人236km21校1校
高岡郡日高村4,826人45km22校2校
高岡郡津野町5,297人198km23校2校
高岡郡四万十町15,596人642km212校5校
▲幡多郡と高岡郡の小中学校数

この5年で2校が廃校になっていますので、8校でも減ったほうです。小学校は歩いて通える距離にあったほうがいいに決まっていますが、あったものをなくするのはやはり難しいことのようです。

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