奄美大島
佐渡島は全島が佐渡市で、対馬も全島が対馬市です。淡路島は3市に集約されていますが、奄美大島ではあまり合併が進まず、5つの自治体が残っています。島の人口の2/3を占めるのが奄美市です。
5,817人 | 竜郷町 | たつごう-ちょう | 奄美空港(アメダ笠利) |
41,390人 | 奄美市 | あまみ-し | 名瀬測候所 |
1,364人 | 大和村 | やまと-そん | |
1,621人 | 宇検村 | うけん-そん | |
7,319人 | 瀬戸内町 | せとうち-ちょう | アメダス古仁屋 |
奄美市は2006年に名瀬市、笠利町、住用村(すみよう-そん)が合併して発足しました。島内に観測所は3か所あります。下の地図では名瀬測候所(青)が内陸にあるように見えてしまいますが、名瀬港の奥ですので堤防から200mの至近距離です。
名瀬測候所は奄美市の中心部です。市役所まで徒歩6分ほど、島内随一の繁華街・やんご通りも徒歩6分ほどです。
気象庁サイトでは標高3mとされていますが、ストビュー画像(↓)のフェンスの右にある電柱には海抜2mの表示があり、奄美市のハザードマップでは2mで浸水する区域に入っています。屋上設置の風速計は20.8mだそうです。
測候所で残置
全国各地の測候所は無人化されていますが、帯広と名瀬は「測候所」のままで残っている有人観測所です。名瀬の日照時間がやけに短いことに気づいたのは、去年12月の観測値を集約した今年初めのことでした。
私は「まるで日本海側のような数値です」と記述しましたが、どうやら数値だけではないようです。名瀬と瀬戸内町のアメダス古仁屋、それに鹿児島地方気象台の月間日照時間の平年値を比較してみました。
7月と8月の日照時間は鹿児島とさほど遜色はありませんが、10月から5月は大差です。ついでに、降水量も比較してみます。
冬になると大陸からの寒気が暖かい東シナ海に流れ込み、雲を生じさせるということのようです。そこはおおむね想像の範囲(まるで日本海側)ですが、それなら屋久島も種子島も牛深も福江も同じことです。名瀬(なぜ)が極端に少ないのはなぜなのかというのが私の疑問なのです。
2023年度移転予定
名瀬測候所は区画整理事業の関係で2023年度中に移転することが決まっているようです。
ちっとも珍しくありませんが、名瀬の年平均気温は右肩上がりです。
ところが、最高気温は1960年7月9日に観測された37.3℃が更新されていません。60年以上前の最高気温記録が残っているきわめて貴重な観測所です。36℃オーバーも2001年が最後です。
2020-2022年の観測値
名瀬測候所の2020年から2022年の観測値は次のとおりです(順位は降順)。年平均気温は3年連続で全国31位です。30位との落差があるのかもしれません。
年降水量 | 3039.0ミリ | 133位 | /1293地点 |
年平均気温 | 22.0℃ | 31位 | /922地点 |
年最高気温 | 34.4℃ | 633位 | /922地点 |
年最低気温 | 9.2℃ | 27位 | /922地点 |
年較差 | 25.2℃ | 893位 | /922地点 |
年平均風速 | 2.8m/s | 239位 | /921地点 |
年日照時間 | 1275.5時間 | 812位 | /841地点 |
年降水量 | 2975.0ミリ | 124位 | /1293地点 |
年平均気温 | 21.8℃ | 31位 | /921地点 |
年最高気温 | 34.2℃ | 636位 | /921地点 |
年最低気温 | 7.3℃ | 29位 | /921地点 |
年較差 | 26.9℃ | 889位 | /921地点 |
年平均風速 | 2.8m/s | 275位 | /920地点 |
年降水量 | 3121.5ミリ | 56位 | /1285地点 |
年平均気温 | 22.1℃ | 31位 | /916地点 |
年最高気温 | 34.8℃ | 504位 | /916地点 |
年最低気温 | 8.2℃ | 33位 | /916地点 |
年較差 | 26.6℃ | 883位 | /916地点 |
年平均風速 | 2.8m/s | 239位 | /915地点 |
年日照時間 | 1175.9時間 | 839位 | /842地点 |
去年の名瀬は日照時間が少ないほうから全国4位でした。
スギ花粉がほとんどない奄美
ところで、さる観光ガイドに「奄美は杉の木がない」との記述がありました。沖縄でさえコンマ何パーセントかスギの木があったはずです。いくら信頼度に欠けるのが相場の観光ガイドと言えども、「少ない」ではなく「ない」は聞き捨てならない話です。
スギの木の南限は屋久島とされています。屋久島は標高1936mの宮之浦岳を抱えています。奄美の最高峰は宇検村と大和村の境界に聳える湯湾岳で標高694mです。奄美大島は屋久島の南です。したがって、奄美大島には自生のスギはないはずです。ただ、植林されたものが残っているはずです。
【外部リンク】
■林野庁>奄美大島・徳之島におけるスギ人工林の広葉樹林復元の検討
■奄美マングースバスターズ ネイチャーカレンダー>奄美でアレルギーを引き起こす花粉の正体
やはりオール・オア・ナッシングなら「ある」ようですし、少量でしょうがスギ花粉も確認されています。
スギやヒノキの場合、冷え込む冬を越すと花粉が飛散するようです。そこまで寒くならない奄美大島の場合、スギやヒノキの木があっても、花粉を飛ばすことはほとんどないとされてはいます。ただし、ブタクサの花粉はあるそうですので、花粉症天国というわけではなさそうです。
沖縄を含めて南の島では花粉症から逃れる避粉地としてのロングステイを盛んに推奨しています。「元から住んでいる人で、花粉症になった人は1人もいない」もセールストークとしか思えません。
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