中国人女性が半分所有している屋那覇島とは?

屋那覇島(やなはじま)

先週から話題になっていた中国人女性が購入した沖縄の無人島は、伊是名島(いぜなじま)の南1.3キロにある屋那覇島ということです。

屋那覇島など沖縄北部の離島
沖縄北部の離島(地理院タイルを加工)

屋那覇島の面積は沖縄県の資料によれば0.74k㎡とされています。中国人女性の親族が経営する企業の名義で半分以上を取得しているということです。

沖縄北部の離島
沖縄県 離島関係資料(令和4年3月)>指定離島 ・ 島しょ ・ 人口

行政上は人口1300人ほどの伊是名村に属します。伊是名島から見た屋那覇島のストビューです。平坦すぎてスマホではよく見えないかもしれません。

伊是名島から見た屋那覇島

最大標高13.2m

Wikipedia「屋那覇島」のページでは「最高標高12m」とされていますが、地理院地図には13.2mの三角点があります。等高線は10mまでです。

最大標高13.2mの屋那覇島
屋那覇島(地理院タイルを加工)

地図で島の中央に見える矩形は貯水池跡のようです。古井戸もあり、野生化したウサギやヤギがいるそうですので、有人島だった時代はあるわけですが、いつから無人島化したのかはわかりません。ストビューはありません。

西表島の隣の由布島のように、かつては干潮時に伊是名島から歩いて渡れたそうです。1990年代に船が通れるように浚渫したため、今では渡れなくなっているということです。洞穴などの拝所が数か所あるようですから、信仰の島とも言えます。

現状ではチャーター船でしか行けない島ですが、リゾート開発するなら、まずは重機を運べる規模の船が接岸できる岸壁の整備から始めて、水の確保が次の課題になります。伊是名村の2021年度財政力指数は0.11で全国20位タイです。村の予算で岸壁を整備することはまずなさそうです。

ニュースで話題になっているのは屋那覇島だけですが、取得したとされる企業のWebサイトには、具志川島と降神島(うるがみじま)も記載されています。

義昌商事のリゾート開発
義昌商事株式会社>不動産投資及びリゾート開発

警戒すべきはむしろ具志川島?

具志川島は伊是名島の北、降神島は伊是名島の東にある無人島です。

具志川島と降神島
具志川島と降神島(地理院タイルを加工)

降神島は面積が0.07k㎡で大潮の干潮時には伊是名島から歩いて渡れるようです。船着き場はありません。具志川島は面積0.47k㎡で1970年まで有人島だったそうです。小学校の分校もあったようです。井戸もあるそうですので、リゾート開発は屋那覇島よりかなり現実的です。

実際、この具志川島にはモルディブのソネバ(Soneva)によるリゾート開発計画が報道されています。水上ヴィラ形式のリゾートホテル計画のようです。自治体の協力を得て完成したら数年で某国企業に売却して別目的に転用などという事態が起こらないような縛りは必要かもしれません。

国籍による不動産の譲渡制限は安全保障上の考え方の1つではあるのでしょう。しかしながら、たとえば日本人である私が某国政府に金で釣られて関与した場合、私が国益を損なう不純な意図を持っていたとしても国籍によっては私を排除することができないわけです。

だとすれば、譲渡制限より利用制限の法整備が求められるのかもしれません(譲渡制限が無意味だと主張しているのではありません)。

伊江島の米軍施設

さて、このページ冒頭の地図には与論島と伊江島に空港マークがあります。伊是名島や伊平屋島には空港はありません。与論島の空港は定期便が就航している民間空港です。伊江島の空港は1500m滑走路ですが、1975年7月供用開始で1977年2月には定期便運行が途絶えました。

伊江島の米軍施設

伊江島空港はチャーター便のほかに小型機の訓練用施設として運用されており、ちょうど1年ほど前には訓練中の小型機が墜落炎上した事故が起きています。島の中央にあるのが空港の滑走路です。その西側に並行しているのは米軍の飛行場です。

今は返還されていますので、1500m滑走路を走ることも歩くことも匍匐前進することもできるはずです。島の北西側の赤線で囲った範囲(←アバウトです)は米軍施設であり、鉄条網が張り巡らされた立ち入り禁止区域です。

伊江島の米軍施設

それほど高度な機密を抱える施設ではなさそうですが、伊江島の施設と屋那覇島は23キロの海で隔てられただけの対岸になります。大平内閣当時の1979年に廃止された「外国人の財産取得に関する政令」は、もともとGHQの意向で制定されたものだそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました