桂川と大堰川と保津川、どこからどこまで?

桂川

桂川は淀川水系の河川です。源流は京都市左京区の佐々里峠付近で、京都市右京区の京北合同庁舎付近で弓削(ゆげ)川と合流し、日吉ダムを経由して、南丹市の雪印メグミルク工場付近で園部川と合流します。

サンガスタジアム付近から渡月橋の手前までが水難事故が起きた保津川下りのコースです。嵐山を過ぎた桂川は、その名称の由来に違いない桂離宮の脇を通過して、阪急京都線の大山崎駅付近で宇治川と木津川に合流し、淀川と名前を変えて大阪湾に注ぎます。

桂川、大堰川、保津川
桂川(地理院タイルを加工)

これまでの私の認識は、A~Eすべて桂川であり、保津川とはD区間の通称であるというものでした。ただ、たしか上流A区間だったように覚えていますが「上桂川」の看板か何かを見た記憶があります。

A源流~弓削川との合流点
B弓削川との合流点~園部川との合流点
C園部川との合流点~保津川下り出発点
D保津川下り出発点~保津川下り到着点
E保津川下り到着点~淀川への合流点
▲桂川

大堰川と保津川

Wikiには次のような記述がありました。

京都市右京区京北地区の流域にかけては「上桂川(かみかつらがわ)」、南丹市園部地区に入ると「桂川」、南丹市八木地区から亀岡市にかけては「大堰川(おおいがわ)」、亀岡市保津町請田から京都市嵐山までは「保津川(ほづがわ)」などと名を変え、嵐山から合流地点は再び「桂川」と称される。

Wikipedia>桂川(淀川水系) 2023/03/29閲覧

おおむねA区間及びB区間が「上桂川」、C区間が「大堰川」、D区間が「保津川」、E区間が「桂川」だそうです。

そこで、まずGoogle Mapでどのように表記されているのか調べてみました。Google MapではA区間が「大堰川」、B区間が「桂川」、C区間が再び「大堰川」、D区間も「大堰川」、E区間が「桂川」です。

次いで、Mapionの地図を開いてみました。MapionではA区間が「大堰川」、B区間の弓削川との合流後になぜか「弓削川」となり、園部川との合流前に「大堰川」に戻ります。C区間とD区間は「大堰川」で、E区間が「桂川」です。

面白くなってきました。MapFanもMapionとほぼ同じです。A区間が「大堰川」、弓削川との合流後のB区間で「弓削川」になり、ダムを過ぎると「大堰川」に戻ります。CD区間は「大堰川」で、E区間で「桂川」になります。

YAHOO!地図はすべて「桂川」ですが、上流部にはあまり河川名表記がありません。A区間の終わり近くで最初の「桂川」が表示されます。いつもNAVIもYAHOO!地図とほとんど同様です。YAHOO!地図はゼンリンさんからデータ提供を受けているはずですから当然かもしれません。

すべて桂川が「正しい」

ここまで集約してみると、大筋で次のようになります。なお、「大堰川」の読みは「おおいがわ」です。「おおぜきがわ」や「おおせきがわ」では「大堰川」に変換されません(Google 日本語入力)。一部ではシンプルな「大井川」が使われることもあるようです。

WikipdeaGoogle MapMapion
MapFan
YAHOO!地図
いつもNAVI
A上桂川大堰川大堰川桂川
B上桂川/大堰川桂川弓削川/大堰川桂川
C大堰川大堰川大堰川桂川
D保津川大堰川大堰川桂川
E桂川桂川桂川桂川
▲桂川の通称

実は、地理院地図もすべて「桂川」です。

1896年(明治29年)4月に旧河川法が公布、同年6月の施行以降、行政上の表記は「桂川」に統一されている。

Wikipedia>桂川(淀川水系) 2023/03/29閲覧

「行政上」が何を指すのか不明瞭ですが、渡月橋の欄干には次のような河川名表示があるのです。

渡月橋は「大堰川」に架かる橋

渡月橋南詰

人が多くてなかなか気づくものではないかもしれません。私は今回初めて気づきました。「桂川」ではなく「大堰川」です。

渡月橋北詰

ベビーカーに隠れて「川」が見えませんが、北詰でも同様に「大堰川」です。渡月橋は1934年築ということです。1896年6月以降は行政上「桂川」で統一されたというWikiの記述が揺らいでしまう画像でした。

これ以外の数か所の橋についてストビューを覗いてみましたが、その範囲ではすべて「桂川」でした。

大堰川緑地と保津川キャンプ場

サンガスタジアム対岸の河川敷には「大堰川緑地東公園」があります(スマホでは見えにくい…)。また、画像では表示されませんが右端には「保津川水辺公園オートキャンプ場」もあります。

大堰川緑地東公園

この場合の「大堰川」や「保津川」は河川名ではなく、江戸川区「江戸川」1丁目や荒川区「荒川」2丁目のような町域名かもしれません。そこで、念のために所在地を確認してみました。

大堰川緑地東公園亀岡市保津町西垣内50
保津川水辺公園オートキャンプ場亀岡市保津町三ノ坪60
▲所在地

残念ながら亀岡市には「保津川」や「大堰川」という字や小字は見当たりません。「行政上」統一されたかどうかについては、疑義があるのかもしれません。なお、大堰川漁協や上桂川漁協は民間の漁協名であって、行政はこの名称を受け入れただけです。

また、コトバンク「大堰川」には次のように記載されています。

亀岡盆地以南を保津(ほづ)川,嵐山以南を桂川と呼ぶ。

コトバンク>大堰川 平凡社「百科事典マイペディア」(2023/03/29閲覧)

各種百科事典的には、A~Cが大堰川、Dは保津川、Eが桂川という認識です。河川管理上は統一されたものの、必ずしも浸透しなかったということのようです。

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