千曲川/飯山線
長野県アメダス最高気温の表をつくりながら、ふと浮かんだ疑問は長野県の最低標高はいったいどこなのだ?ということでした。Google先生に聞けば、サクッと教えてくれるに違いありませんが、それでは面白くありません。
長野県アメダス最低標高は飯山の313mです。飯山町役場付近も310m台です。役場近くの千曲川河川敷は310mを切るようです。川は高いところから低いところに流れるわけですので、このまま千曲川を下り、信濃川に変わる長野・新潟県境が長野県最低標高の有力候補となります。
県境近くに274.6mの三角点、少し手前に273.5mの水準点があります。等高線としては240mまで確認できます。「日本最高積雪」標のある飯山線・森宮野原駅付近です。栄村です。
手順としては、この要領で県境を流れる川の水面標高を調べていけばいいはずです。Google先生の検索ボックスに「長野県最低標高」を放り込むのは、後の楽しみとします。
天竜川/飯田線
天竜川では飯田線・伊那小沢駅付近に277mの標高点があります。
県境は伊那小沢駅から直線で4.5キロほど南にあります。
静岡県側に338mの標高点がありますが、川岸の等高線は250mです。千曲川の長野県最下流より天竜川のほうが標高は高いようです。
姫川/大糸線
大糸線で鎌倉山トンネルを抜けると、ちょうど新潟県に入ります。新潟県側には202.6mの水準点があり、長野県側の姫川(ひめかわ)沿いには180mの等高線が示されています。長野県最低標高は、新潟県境の姫川河畔のようです。小谷村(おたり-むら)になります。
姫川はただの川ではありません。ここは地理マニアの心を躍らせる糸魚川静岡構造線だからです。北米プレートとユーラシアプレートの境界です。
北米プレートは太平洋プレートに押され(東日本大震災)、ユーラシアプレートはフィリピン海プレートに押されて(南海トラフ地震)いますが、幸いにも北米プレートとユーラシアプレートの関係はギスギスしたものではありません。
結局、県境標高の低いほうから姫川<千曲川<天竜川です。順当に海に近い順でした。
というわけで、自分なりに答えは出しました。あとの展開はGoogle先生が頼りです。
小谷村(おたりむら)が173.2m
ひょっとすると、長野県内のどこかに深い盆地があるかもしれません。八戸キャニオンや渥美半島の田原鉱山のように海抜マイナスの鉱山はないとしても、100m台まで掘り下げたかもしれないわけです。
(1)小谷村観光連盟のWebサイトには次のような記載があります。
最低標高点:小谷村北小谷 北緯36度54分56.33秒 東経137度52分29.57秒(約173.2m ※長野県最低標高地点)
一般社団法人小谷村観光連盟>おたりについて
「長野県最低標高地点」と記載された緯度経度をそのまま地理院地図に放り込んで検索すると、たしかに「標高173.2m」と表示されます。とりあえず、この数値が基準です。
(2)15年前にやはり県境の川に着目した個人サイトによれば、トンネル出口の線路敷が「180m」だそうです。いわゆる撮り鉄さんで、2011年には再訪もされているようです。
トンネルを抜けた瞬間、県内の最低地点を通過することになります。線路断面図を見ると、ここの標高が記されています。
みすず刈る信濃の撮ってお記>長野県最低地点探訪 2007年11月18日
180m。
実際の川床はこれよりも10mほど低そうなので、最低地点は170mほどでしょうか。
(3)その他「163.5m」とする個人サイトや、「177m」とする掲示板投稿や、「144m」とするTwitter(X)投稿がありますが、いずれもソースが不明です。
市町村役場なら栄村
この付近では姫川左岸の傾斜は緩やかです。隧道は標高175m程度と思われます。右岸はコンクリブロックで固められているようです。長野県側の右岸に道路はありません。川床でいいなら170mを切りそうです。
ところで、Google先生はこんな長野県最低標高地点も示してくれます。栄村のWebサイトに掲載されていました。「長野県で最も標高が低い地点」だそうです。えっ?
役場の標高なら栄村役場が長野県内最低標高です。小谷村役場は、JR東日本とJR西日本の境界駅となる南小谷駅から姫川を渡ったところにあり、標高は510m台です。居住地域ということなら、栄村のほうが低いわけです。
コメント