年間最少降水量は稚内空港の声問

2019年の年間降水量が最少だったアメダス観測点は稚内の声問(こえとい)でした。声問の観測地点は稚内空港内です。航空気象観測所としての観測開始は2003年になります。

稚内空港(地理院地図

稚内空港の所在地は「北海道稚内市大字声問村声問6744」です。「声問村」は地名上では今も健在です。声問駅と声問中学校はなくなりましたが、声問駐在所と声問小学校と声問郵便局は残っています。

1900年 声問村が稚内村に統合
1901年 町制施行で稚内村が稚内町に
1913年 声問の火力発電所が稼働
1949年 市制施行して稚内市に
1960年 稚内空港が供用開始
1989年 天北線の廃線により声問駅も廃駅に
2009年 空港滑走路が2200メートルに延伸

もちろん声問はアイヌ語由来の地名です。「声」や「問」には音以上の意味はありません。在原業平とも無関係です。声問川と声問岬がありますので、声問が絶滅危惧種というわけではありません。旧・声問駅付近の天北線跡は国道238号線に転用されています。

2019年の年間降水量が少ないほうから8地点は次のとおりでした。いずれも北海道であり、伊達以外の各観測所はほぼオホーツク海の沿岸部と言っても差し支えなさそうです。

 観測地点降水量
1位言問(稚内市)446.5 ミリ
2位伊達(伊達市)500.0 ミリ
3位斜里(斜里町)531.5 ミリ
4位小清水(小清水町)539.5 ミリ
5位常呂(北見市)548.5 ミリ
6位浜鬼志別(猿払村)550.0 ミリ
7位浜頓別(浜頓別町)556.5 ミリ
8位北見(北見市)570.0 ミリ

さて、声問の観測データでは2019年1月から4月までの降水量が、わずかに33.5ミリしかありません。なかには不思議な日もあるのです。2019年1月21日の声問では24センチの積雪が記録されていますが、降水量はゼロです。

雨量計に降った雪はヒーターで溶かして水換算のうえ降水量としてカウントされるはずです。したがって、厳密な気象用語としての「降水量」とは「雨量」と同一ではありません。雪やみぞれが降っても「降水量」としてカウントされます。

気象観測の雨量計は0.5ミリ単位で計測する仕組みです。寒冷地の雨量計はヒーター付きです。どんなにサラサラと乾燥した雪だとしても、24センチもの雪が0.5ミリの水にさえ化けてくれないということがあるものなのでしょうか。

同日、10キロ離れた稚内地方気象台では3センチの積雪で2ミリの降水量が記録されています。一般的には1センチの積雪が1ミリの雨に相当すると説明されることが多いはずです。

そこで、声問のほかに豪雪地帯として有名な4か所をピックアップして、2019年1~2月の降雪合計と降水量の比率を求めてみました。

観測地点降雪(A)降水量(B)B/A
声問218cm15.0mm6.9%
幌加内458cm167.0mm36.5%
酸ヶ湯682cm192.0mm28.2%
肘折610cm502.5mm82.4%
津南618cm320.0mm51.8%

どうも様子がおかしいようです。山形県肘折は「降雪1センチ≒降水量1ミリ」の範囲内だとしても、ほかの4地点は相当に逸脱しています。とりわけ声問は桁違いです。2メートルの雪を溶かして、本当に1.5センチで済むのでしょうか。

2018年1~2月の声問は降雪290センチに対して降水量56ミリです。期待値である「降雪1センチ≒降水量1ミリ」の19.3%です。まあ、20%近くあるならまだ異常値というほどではないのかもしれません。

なお、2017年以前の声問は冬季の観測値がありませんでした。つまり、今の2019-2020シーズンが冬季観測としてはまだ3回目です。そして、紋別空港の紋別小向と女満別空港の女満別は今シーズンも冬季の降水量を観測していません。

というわけで、声問は2019年の全国最少降水量ではありますが、ちょっと素直には受け取れないものかもしれません。ただし、オホーツク沿岸が日本有数の少雨地帯であることは事実です。

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