延命治療しないスウェーデンは都市封鎖もせず

シリーズ11回目の今回もジョンズ・ホプキンス大の数値を用います。今回の規定打席は感染者4000人以上の46か国です(5日前の前回は感染者3000人以上の47か国)。表には死亡者25位のアルジェリアと東西の優等生(アイスランド台湾)をプラスしました。

国・地域感染者増加率死亡者致死率
全世界2,345,6331.22161,3306.9
アメリカ735,2871.2639,0905.3
スペイン195,9441.1420,45310.4
イタリア175,9251.1023,22713.2
フランス152,9781.1119,34912.6
ドイツ143,7241.104,5383.2
イギリス115,3171.2915,49813.4
中国83,8051.014,6365.5
トルコ82,3291.351,8902.3
イラン80,8681.105,1186.3
ロシア42,8532.033610.8
ベルギー38,4961.245,68314.8
ブラジル36,9251.562,3726.4
カナダ34,3861.341,5204.4
オランダ31,7661.193,61311.4
スイス27,4041.071,3685.0
ポルトガル19,6851.167143.6
インド16,3651.555213.2
アイルランド14,7581.395713.9
オーストリア14,6811.044433.0
ペルー14,4201.473482.4
スウェーデン13,8221.261,51110.9
イスラエル13,3621.131711.3
韓国10,6611.012342.2
日本10,2961.352222.2
チリ9,7301.291261.3
ポーランド9,0821.293503.9
エクアドル9,0221.204565.1
ルーマニア8,7461.324345.0
サウジアラビア8,2741.68921.1
パキスタン7,9931.401592.0
メキシコ7,4971.506508.7
デンマーク7,4381.113464.7
ノルウェー7,0691.071652.3
アラブ首長国連邦6,7811.50410.6
チェコ6,6571.101812.7
シンガポール6,5882.26110.2
インドネシア6,5751.365828.9
オーストラリア6,5471.01671.0
フィリピン6,2591.204096.5
セルビア5,9941.481172.0
ウクライナ5,4491.621412.6
マレーシア5,3891.08891.7
カタール5,0081.4680.2
ベラルーシ4,7791.46450.9
ドミニカ共和国4,3351.372175.0
パナマ4,2731.231202.8
アルジェリア2,5341.2836714.5
アイスランド1,7601.0390.5
台湾4201.0761.4

感染者数では、前回9位のトルコがイランを抜いて8位に、前回15位のロシアは10位に、前回14位のブラジルは12位に浮上しています。次回、中国は9位に落ちそうです。日本の感染者数は1万人台に達しました。世界で24番目の大台突破です。

ロシアの増加率は5日前の前回との比較で2.03倍です。シンガポールが2.26倍、規定打席未満のバングラデシュは2.43倍です。バングラは10日前の前々回は感染者218人でした。今回は2456人ですので、10日間で11倍です。世界7位の人口ですから、8位のロシア、6位のブラジルとともに警戒が求められます。

死亡者数ではカナダとスウェーデンが1000人を突破し、死亡者1000人以上は15か国となりました。100人以上は39か国から46か国に増えています。回復者数ではブラジルが前回の2979人から14026人に激増しています。回復者の定義は国によって異なるはずですので、ブラジルの状況が好転しているとは限りません。

致死率はベルギーが14.8%でアルジェリアを抜いて1位です。スウェーデンの致死率がとうとう10%台に到達しています。全世界の致死率とスウェーデンの致死率は次のように推移しています。上段が世界、下段がスウェーデンです。

(世)4.4%→4.5%→4.9%→5.4%→6.0%→6.2%→6.9%
(ス)1.2%→3.0%→4.1%→5.8%→8.2%→8.4%→10.9%

もともとスウェーデンでは、高齢者に対していたずらに寿命を延ばすだけの治療や介護は行わないという考え方が支配的です。チューブでつなぐだけの延命治療より自然な形で看取るのが人間らしい最期というコンセンサスがあるそうです。スウェーデンの致死率はもっと上がっていくのではないかと思われます。

興味深いのが中国です。死亡者の数は前回の3345人から4636人に増えたわけですが、自宅での死亡を把握できなかったからとか、現場が混乱していたからとか説明されています。表には加えていませんが、私のExcelシートには回復者数も入力しています。中国の回復者は前回の78148人から77681人に500人ほど減っています。

不思議な話ですが、どういう理由があるのか報道されていません。まあ、中国の数字を真に受けると、話が進まなくなるものかもしれません。

感染者がこの10日間で4倍に増えたシンガポールですが、「回復者/(死亡者+回復者)」で算出した回復率は、98.5%をキープしたままです。感染者が増加しても回復率や致死率を維持できるのかどうか、今後が注目されます。回復率上位国は、アイスランド99.3%、カタール98.5%、オーストラリア98.4%、規定打席未満ではバーレーン99.1%、ニュージーランド98.7%、クウェート97.8%です。

人口1万人当たりの感染率は、アイスランド52人台、スペイン41人台、ベルギー33人台、スイス32人台、規定打席未満ではサンマリノ133人台、アンドラ91人台、ルクセンブルク58人台、マン島35人台です。日本はまだ0.8人台ですので集団免疫ははるか彼方の話です。

スウェーデン

スウェーデンは感染者数では21位ですが、死亡者数では14位です。ベラルーシ同様に都市封鎖していないヨーロッパの少数派です。高校や大学はネット授業に切り替えていますが、小中学校の休校は見合わせています。

インフルエンザの場合、小中学校で感染が蔓延してそれが各家庭に持ち込まれるというパターンが見られることから、学校閉鎖が有効な防疫手段です。今回の新型コロナについては子供が大人に感染させるのかどうか明らかではありません。日本では真っ先に学校の一斉休校が行われましたが、その効果があったのかどうか検証されたという話は聞きません。

緩やかな規制だったスウェーデンもそろそろ医療リソースが限界に近づきつつあり、商業施設等を閉鎖できるように法改正が整えられました。近日中に転換が行われることになるのかもしれません。

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