アメダス香取の時間雨量153ミリは観測再開半月後

1時間降水量TOP20

1時間降水量の歴代ランキングは次のとおりです(2022/6/2現在)。尾鷲は入っていますが、必ずしも年降水量が3000~4000ミリ級の豪雨地帯ばかりというわけではありません。

観測地点mm起年月日2021年2020年
千葉香取1531999/10/271979.51579.5
長崎長浦岳1531982/07/233209.53524.5
沖縄多良間1521988/04/28
熊本甲佐1502016/06/212380.02826.0
高知清水 *1501944/10/172939.52687.0
高知室戸岬 *1492006/11/262939.52703.0
福岡前原1471991/09/141888.52182.0
愛知岡崎146.52008/08/291808.01944.5
沖縄仲筋145.52010/11/191757.52102.5
和歌山潮岬 *1451972/11/142423.02717.5
鹿児島古仁屋143.52011/11/022010.52481.0
山口山口 *1432013/07/282132.52277.0
千葉銚子 *1401947/08/282191.01795.5
宮崎宮崎 *139.51995/09/303126.02279.5
三重宮川1392004/09/293331.52725.5
沖縄与那覇岳1391980/09/24
三重尾鷲 *1391972/09/144486.03880.0
鹿児島小宝島138.52018/09/242231.03135.5
山口須佐138.52013/07/282077.01903.0
沖縄宮古島 *1381970/04/191669.52504.5
▲気象庁>歴代全国ランキング(最近2年の年降水量を付加)

1999年当時はアメダス佐原(さわら)

観測史上1位の153ミリは香取と長浦岳ですが、長浦岳は山岳観測所であり周囲に民家はありません。アメダス香取は利根川から5キロ弱の高台(標高37m)にあり、近くの香西川の水面標高は6~7mです。佐原の市街地で利根川に合流します。

アメダス香取周辺(地理院タイルを加工)

香取市は2006年に佐原市と香取郡3町が合併して発足しています。合併を受けて、アメダス地点名も「佐原」から「香取」に変更されています。153ミリのときは「佐原」です。

アメダス香取

畑に囲まれた立地です。ストビューでは140mほど離れた県道から風速計らしきものが見えます。

アメダス香取の観測値

もともとそれほど雨の多い地域ではありません。利根川下流ですから山があるわけでもなく、地形的には雨が多くなる要素はありません。2020年と2021年の観測値は次のとおりです。

年降水量1579.5ミリ780位/1293地点
年平均気温15.0℃375位/922地点
年最高気温35.5℃501位/922地点
年最低気温-6.8℃492位/922地点
年較差42.3℃482位/922地点
年平均風速2.0m/s495位/921地点
年日照時間1838.7時間354位/841地点
▲2020年の観測値
年降水量1979.5ミリ433位/1293地点
年平均気温15.0℃365位/921地点
年最高気温34.2℃636位/921地点
年最低気温-7.3℃419位/921地点
年較差41.5℃589位/921地点
年平均風速2.0m/s527位/920地点
▲2021年の観測値

去年の最高気温は35℃に達していませんが、都心とくらべると冬がやや寒そうです。数値的にはありふれた観測地点であり、ここが20年以上破られていないレコードホルダーだというのが不思議なくらいです。

佐原豪雨

1999年は梅雨どきに博多駅地下街が浸水したり、8月には玄倉川の中洲にキャンパーが取り残されたり、9月の台風18号では宇部空港の堤防が決壊したり、自然災害が続きました。人類は滅亡しませんでしたのでその意味ではノストラダムスのささやかな抵抗ですが、被災者としてはそういうわけにはいきません。

1999年の佐原豪雨では佐原市で1人、東北で3人の人的被害が出ています。太平洋岸を進んできた南岸低気圧は台風並みの992hPaまで発達し、佐原はちょうど前線上(下?)でした。北西からの冷たい空気と南東からの暖かい空気が衝突した結果のようです。

アメダス香取の観測値を調べてみると、1999年8月12日午前9時で観測がストップしています。復活したのは1999年10月12日の午後3時頃です。移転なのか事故なのかわかりませんが、2か月ぶりに観測を再開したばかりでした。

気象庁>香取 1999年(月ごとの値)主な要素

153ミリ(厳密には152.5ミリだったようです。当時の観測値は1ミリ単位です)の10月27日20時台は観測再開後16日目でした。もし再開があと1か月遅れていたら、153ミリのレコードは残らなかったことになります。

サハラ砂漠ではなく

「佐原」を「サワラ」と読むのは珍しいほうであり、「サハラ」と読み間違われる場合がある。

Wikipedia>佐原市(2022/06/02閲覧)

後段はともかく、前段は「そうか?」です。地名としての「佐原」を「さはら」と読むのはむしろ少数派ではないかというのが私の認識です。「田原」もそうですが、「~わら」や「~ばら」のほうが日本語の読みとしては自然です。

岩手宮古市佐原
福島福島市佐原
神奈川横須賀市佐原
岐阜本巣市佐原
三重大台町佐原
茨城稲敷市佐原組新田
大阪高槻市奈佐原
▲佐原の読み

このように「わ」は「珍しい」レベルではありません。福岡市早良区も「さわら」です。

なお、茨城県大子町には「さはら小学校」があります。これで正式名称です。カタカナだとアフリカっぽくなります。1955年以前は「佐原村」だった地域です。町域名としての「佐原」は残っていませんが、大子佐原郵便局もあります。

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