気象観測用気球の自動放球装置を探してみた

気象庁のGPSラジオゾンデは全国16か所で1日2回放球されています。稚内、札幌、秋田、つくば、父島、南鳥島、福岡、鹿児島の8か所は職員による手動放球です。残りの8か所については機械による自動放球です。Googleストリートビューで自動放球装置を探してみました。

釧路

釧路地方気象台は9階建てぐらいの合同庁舎です。自動放球装置は気象台から6キロほど離れた海岸線沿いに設置されています。この画角では放球部分は見えません。

釧路のラジオゾンデ放球装置

土手を越えると海です。放球装置は海に面しています。ここにも風速計が設置されていますが、釧路の風速計の高さは66.1mですので、合同庁舎屋上の風速計の数値が釧路の風速として発表されているはずです。

看板には次のように記載されています。

気象庁 釧路高層気象観測施設
この施設は、気象観測機器を気球に取付けて飛揚し、自動的に上空の気象観測を行うためのものです。敷地内には、許可なく立ち入らないでください。施設にいたずらをしたり、壊したりすると、「気象業務法」で罰せられることがあります。

当地の警告看板

輪島

輪島測候所は2010年に無人化されました。今は正式名称としては輪島特別地域気象観測所です。観測路上に隣接して自動放球装置が置かれています。架台上のコンテナボックスのようなものが格納庫で、円筒形の部分からラジオゾンデが発射されます。

輪島のラジオゾンデ放球装置

2023年1月13日に水素ガス注入中に火災が起きています(自然鎮火)。ヘリウムではなく水素を使っているようです。2022年2月には釧路でも火災が発生したということです。

八丈島

八丈島測候所は2009年に無人化され、八丈島特別地域気象観測所になっています。補充・メンテ要員が島に残っているそうです。サイズ的に庁舎屋上の円筒形が発射装置と思われます。

八丈島のラジオゾンデ放球装置

潮岬

プシュー看板の潮岬は2009年に測候所から特別地域気象観測所になりました。ユニットは敷地内に設置されています。

潮岬のラジオゾンデ放球装置

プシュー音は放球時に発するのではなく、ガスを充填した気球をチューブから外すときに発するものだろうと推測されます。

松江

松江地方気象台では駐車場に放球ユニットが設置されています。都合よく?雨と日差しを防ぐ屋根付き駐車場として有効利用されているようです。2010年に米子から移転したということです。

松江のラジオゾンデ放球装置

名瀬

名瀬測候所は無人化されずに残っている2つの測候所のうちの1つです。ウィンドプロファイラの奥に見えるのが自動放球装置のユニットではないかと思われます。

名瀬のラジオゾンデ放球装置

南大東島

南大東島地方気象台は職員と思われる方(アカウント名=木全和茂氏)の360度写真が投稿されています。さすがに内部から撮影してもらうとバッチリです。

南大東のラジオゾンデ放球装置

なお、2018年に公開された動画ではユニットの型が異なっていますので、放球装置が更新されているはずです。

【外部リンク】
■明星電気株式会社>ラジオゾンデ自動放球システム ARS

石垣島

石垣島地方気象台については、YouTubeで公開されている動画を埋め込んでおきます。

【2024/07/23追記】動画が非公開になっていましたので削除します。

このほか、YouTubeには釧路や松江での放球の様子や、海から回収したラジオゾンデ(貼付シールは英語表記)の分解動画も公開されています。気象庁サイトには放球のタイミングが午前9時と午後9時の1日2回と記載されていますが、実際には8時半のようです。

地上では気球の大きさは直径1.5~1.6mですが、気圧の下がる上空では富士山に連れて行ったポテチのように膨らみます。地上3万m付近で8mになって破裂し、パラシュートで降りてくるのが日本で認められている気象観測用気球です。推進力はありません。

仙台上空で滞空していたバルーンは推進力を備えて飛行機より高い高度に留まっていたわけです。県警ヘリに酸素マスクが常備されているとは思えませんので、とても近づける高度ではありません。父島や鹿児島でも目撃されていたことから、容疑者としてはほぼ絞られていました。

鹿児島(2024/07/23追記)

鹿児島地方気象台が2023年2月28日の夜の部から、自動放球に切り替わったようです。
(KTS>83年の歴史 鹿児島地方気象台の観測気球 手作業から自動化へ 節目の日に密着)

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