岩手北部沿岸部・普代水門の村で沢からの濁流が商店街に

2019年台風19号

台風19号で1時間雨量が80mmを超えたアメダス観測点は次の6地点です。

95.0mm(~10/13 01:54)普代(岩手)
93.5mm(~10/13 01:55)小本(岩手)
85.0mm(~10/12 19:21)箱根(神奈川)
84.5mm(~10/13 01:21)宮古(岩手)
81.5mm(~10/12 19:52)丹沢湖(神奈川)
80.5mm(~10/12 20:30)丸森(宮城)

3時間雨量で200mm以上は次の6地点でした。3時間降水量は10分刻みでカウントされるようです。

236.5mm(~10/13 02:20)普代
224.0mm(~10/13 02:30)小本
211.5mm(~10/12 13:00)箱根
211.5mm(~10/12 20:40)筆甫(宮城)
211.5mm(~10/13 02:20)宮古

岩手県沿岸北部の普代(ふだい)、小本(おもと)、宮古が上位を占めています。久慈と山田も1時間雨量は70mm超です。

岩手県沿岸北部のアメダス観測地点

浸水被害

アメダス普代は村役場の近くです。「2冠」の普代村で何も起こっていないはずはありません。普代村の世帯数は10/31現在で1,126世帯です。被災住戸は136棟ということですから、全世帯の1割以上になります。

ポテチ減産が生じた2016年8月末の台風10号は岩手県大船渡に上陸した稀有な台風でしたが、そのときの普代村では普代川とその支流の茂市川が氾濫したようです。今回は普代川が氾濫したわけではありません。

普代村中心部

国道45号線の旧道は商店街です。西側の山の数か所の沢から粘土混じりの水が流れ出し、45号線が泥まみれになったようです。村役場の被害は確認できませんが、今はふれあい交流センターになっている旧庁舎は被災しています。

普代川の上流域では記録的な雨が降ったわけではありませんので、普代川自体は無事だったのでしょう。地域内の雨量があまりにも多量で、山の保水能力を上回ったものと思われます。

普代水門

普代で有名なのは高さ15.5m、幅205mの巨大水門です。普代川河口から約400~500m地点に設置されています。2013年8月撮影のストビューを埋め込みました。

津波の恐れがあるときは道路部分が止水壁で塞がれます。震災時は途中で停電したため、消防隊が手動操作して津波到達前に閉めたそうです(押したり引いたりの手動ではないはずです)。水門の右奥には小学校と中学校があります。普代村では震度5強、津波痕跡高は18.4mです。

普代水門
普代水門(地理院タイル

1896年の明治三陸地震で300余名、1933年の昭和三陸地震で100名以上の犠牲者を出したという普代村ですが、2011年の津波は水門を超えたものの行方不明者1人の人的被害で済んでいます。北隣の野田村は38名、南隣の田野畑村は29名の犠牲者です。

2020年の観測値

アメダス普代

標高8mのアメダス普代の2020年観測値は次のとおりでした。順位はすべて降順です。岩手県北部ですが年最高気温は全国300位に入っています。沿岸部ながら年最低気温も低いほうから全国300位内ですので、年較差は全国200位以内と厳しい気候です。

年降水量2001.5ミリ533位/1293地点
年平均気温10.8℃684位/922地点
年最高気温36.8℃295位/922地点
年最低気温-10.4℃657位/922地点
年較差47.2℃194位/922地点
年平均風速1.2m/s810位/921地点
年日照時間1581.7時間590位/841地点
▲アメダス普代の2020年観測値

面積の広い岩手には雨量観測のアメダスが50か所ありますが、年2000ミリ超は6地点しかありません。普代より降水量の多い湯田、沢内、祭畤(まつるべ)、葛根田(かっこんだ)、豊沢は、いずれも秋田県境に近い内陸部です。アメダス普代は1976年の観測開始で年2000ミリは初めてです。

2020年の年平均気温の10.8℃も2015年と並ぶ1位タイです。これまでの日最高気温は1978年8月3日の37.7℃です。2020年8月11日の36.8℃は観測史上2位でした。

【外部リンク】
広報ふだい 2011.3(震災直後に発行された村の広報誌、普代水門の記述あり)

コメント

タイトルとURLをコピーしました