本人も知らないはずの動画
北海道4区選出の中村裕之・農水副大臣は、旧・統一教会(統一協会)との関係をめぐる「点検」に関して、
(1)選挙の際にボランティア支援を受けたこと
(2)教団の関連団体の会合に出席して挨拶したこと
を認めています。現職の副大臣ですので、もちろん今後は関係を断つということです。
中村副大臣のスピーチ動画を見つけましたので埋め込んでおきます。再生回数81回の動画です。
中村副大臣は次のように発言しています。スピーチの途中からと思われますが、20秒足らずの短い簡潔な挨拶です。
みなさんに本当に親身なる温かいご声援を頂きました。私にとりましてもすべてがいい結果とはいきませんでしたけれども、総体的に見るとおかげさまでいい結果になったと思っております。心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
You Tube動画のスピーチ文字起こし
動画の概要欄は次のとおりです。
81回視聴 2015/06/01
You Tube動画の概要欄
第3回韓日文化交流SaxophoneConcert
일시:2015.5.17
장소:北北海道教区
札幌手稲西教会 教会長 金元彬
중의원의원 中村裕之歓迎人事
地區長 矢吹恭一
教会の演壇でスピーチ
ハングルがわかりませんので、「장소」をGoogle翻訳にかけてみました。「場所」だそうです。ん? ひょっとすると、この会場は教会そのものではないのでしょうか? こんな動画もあります。
背景は一緒で公開日も同じです。ステージの左端に「真の父母様」こと文鮮明・韓鶴子夫妻の肖像が掲げられているように見えます。貸しホールに肖像を持ち込んでセットしただけかもしれませんが、教会なら飾ってあって当然でしょう。
こちらの動画には赤いリボンをつけた中村副大臣は写っておらず、記念撮影のときにはもう退出していたものと思われます。中村副大臣が出席したのは「札幌手稲西家庭教会」で開かれた会合です。
実は、地方教会ポータルサイトには同教会の内部画像が掲載されています。ステージの構造が動画と同一です。中村副大臣は教団関連団体の会合に参加したことは認めていますが、教団主催会合に出席したとの自己申告はしていません。自民党アンケートではそういう区分で報告を求めていました。
あいにく横断幕の小さな文字を読み取ることができず、「第3回韓日文化交流Saxophone Concert」が教団主催かどうかわからない悩ましさがあります。一般な理解としては、教団施設内で行われているなら教団主催であると考えるのか自然です。ややこしいことに、この教団の場合はそうとは限りません。
たとえば平和統一聯合の会合が教団施設で行われることは珍しいわけではないようです。メンツが同じなら、そうなってしまうものなのでしょう。というわけで、ロジックとしては中村副大臣が虚偽申告していない可能性もあります。
前年12月に総選挙があり、中村氏は苦戦しながら2選目を果たしています。「総体的にはいい結果」と符合しますし、ボランティア支援を受けたのなら半年後の会合にチョロっと顔を出してお礼を述べても不思議ではありません。「支援団体の1つ」以上の深い関係はないものと思われます。
札幌手稲西教会
ところで、なぜ教会名が「手稲西」なのでしょうか。単に「手稲」だけでいいはずです。あえて東西南北を使うなら「手稲北」がふさわしい立地です。ポータルサイトによれば、ここは1990年代前半からの教団施設であり、研修施設J・ノースガーデン→札幌教会→手稲西教会だそうです。
「西」をつける必要があったのは、当時「手稲教会」があったからではないかと思われますが、そこは確認できませんでした。手稲西家庭教会は稲陵中学校に隣接しており、手稲駅または稲穂駅から車で10分弱です。
私が把握している範囲でもっとも早く自民党ポスターを掲げ始めた教団施設です。明らかに教団敷地内のA地点のポスターは銃撃事件後の2022年10月のストビューでは撤去されています。
ストビュー | A | B | C |
2011/09 | poster | 旧倉庫 | poster |
2015/06 | poster | なし | poster |
2015/11 | poster | なし | poster |
2016/07 | poster | 新倉庫 | poster |
2022/10 | なし | 新倉庫 | poster |
これに対して、C地点には最新2022年10月のストビューでも自民党ポスターがあります。
ここは三富ハイツという賃貸アパートのようです。曙7条は住居表示施行地域です。
教団施設 | 札幌市手稲区曙7条2丁目8−41 |
三富ハイツ | 札幌市手稲区曙7条2丁目8−37 |
越境していた?倉庫
教団の互助団体・APTF(真の家庭運動推進協議会)北北海道協議会の連絡先住所が「曙7条2-8-37」だった時代があるようです。NAVI TIMEのページがヒットします。
【外部リンク】
■NAVITIME>APTF北北海道
タウンページが元ネタのようですが、この電話番号はすでに他社が使用しており、数年以上前の古い情報だと思われます。APTFの連絡先ということは、それなりの教会幹部が使っていたことになるはずです。
B地点の2011年のストビューです。ガレージ風の倉庫が建っています。
2015年のストビューでは、B地点の倉庫が撤去されており、敷地境界と思われるブロックが敷かれているのが見えます。ブロックの延長に排水桝があります。
倉庫は容易に解体できても、排水溝の位置はそう簡単には動かせません。2011年のストビューで建っていた倉庫は、排水溝の蓋2枚分越境して建てられていたことになります。
これは何を意味するのでしょうか。隣り合う建物の占有者が異なる場合、この種の越境は必ず近隣トラブルになります。トラブルの結果として倉庫が撤去されたのかもしれませんが、両建物の占有者が同一の可能性も考えられるわけです。
C地点の自民党ポスターは誰が貼ったのかという問題が浮上することになるかもしれません。ただ、「関係遮断」を一方的に言い出したのは自民党サイドであり、教団側にそのつもりはないはずです。
もしC地点の土地所有者が教団だとしても、自民党側(中村副大臣側)に責められる要素はそれほどありません。「こっちは遮断している、あっちが勝手に貼るのは止められない」で終わりです。
Blue Sheep
さて完全に蛇足ですが、北海道で活動している「Blue Sheep」という8人編成のバンドがあるようです。今年1月に「ヒョジョン・フラッグ」という9曲入りのファーストアルバムを出したそうです。
Blue Sheep は2015年に結成された北海道で活動するバンドで、この年は真のお母様が年頭に「青い羊の年」と語られたこともありバンド名を「Blue Sheep」と名付けさせていただきました。これまで主に札幌での「孝情讃美フェスティバル」や帯広での「聖火式」などで演奏し、2019年には「真の父母様御聖婚記念式」の文化公演でも日本の代表として演奏しました。
North Hill official website>Blue Sheep 1st アルバム 特設ページ
教団との関連を隠しているわけではなく、むしろ販路をそちらに求めているのかもしれません。いろんなところに手を伸ばしているようです。帯広の聖火式は2022年は中止になっています。
【2023/10/25追記】木原誠二・前官房副長官には「誠世会」という後援組織があったそうですが、中村裕之・前農水副大臣にも「裕世会」があったようです。
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