県庁所在地は風が強いわけではない

横浜は20m

連日の猛暑に今日はどこで40℃を超えたのかと、半ば楽しみに気象庁のサイトを開いていたのは2018年の夏でした。毎日見ているうちに、不思議なことに気づきました。多くの場合、県庁所在地の風速の数値がやけに大きいのです。

たとえば、2018年10月1日の台風24号襲来時の神奈川県内5地点の最大瞬間風速は次のとおりでした。神奈川の風速測定点はこの5か所だけです。

  • 38.5m/s 横浜(観測史上2位、風速計の高さ19.8m)
  • 36.8m/s 辻堂(観測史上1位、風速計の高さ10m)
  • 36.5m/s 三浦(観測史上3位、風速計の高さ10m)
  • 29.8m/s 海老名(観測史上1位、風速計の高さ6.5m)
  • 29.0m/s 小田原(観測史上1位、風速計の高さ10m)

台風の進路に近かったのは海老名ですが、吹き返しの南方向からの風で記録が出ています。そうすると、相模湾に面した辻堂、三浦、小田原のほうが強くてもよさそうな気がします。

横浜地方気象台
横浜地方気象台(地理院タイルを加工)

横浜地方気象台は港の見える丘公園と外人墓地の間にあります。地形的にも丘の上であり、そこに約20mの高さの風速計が設置されています。横浜が県内の最大値だったのは、風速計の設置高さに起因するものと考えられます。

佐賀は56m

また、10月6日の佐賀県内6地点の最大瞬間風速は次のとおりでした。韓国に上陸した台風25号の影響で記録ラッシュとなった日です。この日の午前中、私が乗っていた新幹線は小倉-博多間で20分ほど運転を見合わせました。

  • 32.4m/s 佐賀(観測史上3位、風速計の高さ56.1m)
  • 26.9m/s 嬉野(観測史上1位、風速計の高さ10m)
  • 26.2m/s 伊万里(観測史上1位、風速計の高さ8m)
  • 26.2m/s 川副(観測史上1位、風速計の高さ10.1m)
  • 24.2m/s 白石(観測史上1位、風速計の高さ10m)
  • 23.2m/s 唐津(観測史上5位、風速計の高さ10m)

佐賀だけ突出しています。風速もそうですが、風速計の高さはさらに突出しています。市街地ではそうなってしまうのでしょう。県庁所在地の風速計は高い位置に設置されがちで、結果的に県庁所在地では風速の観測値も高くなってしまうわけです。

地上からの高さの影響は大

「2018年の最大瞬間風速ランキング」の928地点のうち、風向風速計の高さ10m未満が276地点で29.7%、10mジャストは431地点で46.4%、10m超が221地点で23.8%です。上位100地点と下位100地点の内訳を含めてグラフ化しました。

風速計の地上からの設置高さ

広島や八王子でも庁舎の屋上に風向風速計が設置されています。広島や八王子の数値が高いからといって風が強い街だとは言えないわけです。

佐賀と八王子と釧路の年平均風速の推移

佐賀と八王子と釧路について、年平均風速の推移をグラフ化してみました。

釧路の風速計は66mです。いつからこの高さになったのかグラフから歴然としています。50m近い高さの八王子も同様です。佐賀は1973年、1975年、1995年に変わっているようです。

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