Googleマップに疑惑の投稿写真、アメダス六厩

「六厩」は角川日本地名大辞典では「むまい」の読みですが、役所的には「むまや」で統一されています。字を尊重したようです。アメダス六厩は1978年11月の設置以来、移転していないものと思われます。標高は1015ｍとされています。

通年で気温観測している中では、（1）野辺山、（2）奥日光、（3）菅平、（4）田代、（5）草津、（6）鷲倉、（7）開田高原、（8）奈川、（9）原村に次ぐ10番目に標高の高い観測所です。六厩は主に今の時期に日最低気温が全国1位になることがあります。

▲日最低気温1位の回数（2024年は5/18まで）

アメダス六厩は高山駅から車で40分ほどの距離です。近くを流れる六厩川は移植桜で有名な御母衣湖（みぼろ-こ）で庄川に合流します。庄川下流域は高岡市と射水市の市境と部分一致します。

水平直線距離なら富山や金沢が近そうですので、Googleマップでアメダス六厩を起点に各県庁までルート検索してみました。

▲各県庁までのアクセス

遠回りせず高速に乗れる岐阜が一番近いようです。六厩を含む飛騨地方を「東海」と呼んでいいのか議論はありそうですが…。

アメダス六厩の年平均気温は次のように推移しています。2023年は8.8℃で観測史上1位でした。

2010年は3月下旬に1週間ほどの欠測がありますが、夏日と真夏日には影響しません。去年の夏日は77日です。真夏日は2018年に及びませんでした。

1000ｍ超えの標高ですので、猛暑日や熱帯夜が観測されたことはありません。これまでの最高気温は2001年8月2日の33.5℃、日最低気温の最高は2019年8月15日の21.7℃です。

冬日と真冬日は次のとおりです。

Googleマップには観測機器と思われる画像が2023年8月に投稿されています。柱の上部に取り付けられているのが気温計（＆湿度計）の通風筒、左に飛び出ているのは赤外線式の積雪計のようです。かなり高い位置に設置されているようです。

ところが、ストビューではこの観測機器？が見当たりません。風速計の右に見えるのは雨量計です。「助炭」と呼ばれる風よけの覆いがないタイプです。フェンスが隠れていますので、観測露場は道路面より低い位置にあるようです。

雨量計と気温計と積雪計は最大積雪深より高い位置に設置しないと雪に埋もれて計測不能になります。アメダス守門のストビューはこうです。

左が雨量計、左右反転のL字に突き出しているのが気温計の通風筒、風速計の柱に取り付けられている古い防犯カメラのような形状のものがレーザー式の積雪計です。

アメダス六厩では積雪観測が行われた形跡もないことから、投稿画像は六厩のものではないと判断してよさそうです（六厩の気温計は風速計に取り付けられており、てっぺんにはありません）。

2021年から2023年の観測値は次のとおりです。最低気温はマイナス20℃に達し、ダイヤモンドダスト現象が発生することもあるようです。

▲アメダス六厩の2021年観測値

▲アメダス六厩の2022年観測値