東海リンク戦の影に滋賀師範あり

初期の東海地区の予選では、いわゆるリンク戦が採用されています。1918年第4回大会では10チーム参加のリンク戦です。会場は岐阜中グラウンド(校庭)です。

2勝した愛知一中、岐阜師範、明倫中の3校が勝ち抜けです。岐阜師範と明倫中が準決勝(相当)を戦い、21対11でこれを制した明倫中が愛知一中との代表決定戦に進出しています。

出場チームのキャプテン全員がグラウンド上で手を繋いで輪を作ったとします。このとき、手を繋いでいるチームがリンク戦の対戦相手です。各チーム2試合戦うわけです。私はring戦だと思っていましたが、どうもlink戦が正しいようです。

トーナメントの場合、総試合数は参加チーム数マイナス1試合です。半数のチームは1試合だけで帰ることになります。遠くからはるばるやって来たのに、1試合で帰すのはどうかという思いは誰にでもあるはずです。

かと言って、総当りリーグ戦では試合数が多くなりすぎます。10チーム参加なら総試合数は45試合です。リンク戦では参加チーム数と総試合数とが一致します。1チーム2試合を保証するのがリンク戦です。

その性質上、リンク戦だけでは優勝チームを決められませんので、リンク戦終了後に数チームによる決勝トーナメントが行われるのが一般的です。リンク戦は「4」を「2」に絞ったり、「5」を「2」に絞るときはある程度有効です。

10校参加なら、2組に分けて5校のリンク戦を行い、上位各2校が代表決定トーナメントに進出するというパターンも考えられます。5チームによるリンク戦では2勝するチームが3チーム出ることはあり得ません。

最終的に得失セット率や得失点率で順位を決められるバレーボールでは、リンク戦を導入しやすいものと思われます。「リンク戦」で検索してヒットするのはバレーやソフトです。

さて、ウラ優勝校のMAP作成にあたり、私は全国大会についてはWikipediaを、地方予選に関しては「高校野球データベース」さんを主に参照してきました。このサイトを作り上げて維持していることには率直に敬意を表します。

なにしろあの量ですから多少のミスはあり得ます。ないほうがむしろ不自然というものです。1919年第5回大会の東海予選に関して、脱落している試合があるのではないかと思われます。

http://bibijr.com/aichi/5

「夏といえば」さんのデータベースソフトによれば、第5回東海予選の参加校は、愛知が愛知一中、愛知四中、明倫中、愛知工の4校、岐阜が岐阜師範、岐阜中、大垣中の3校、三重が山田中と四日市商の2校、それに滋賀!の彦根中を加えて10校です。

10校でリンク戦を行えば10試合になるはずですが、9試合分しか掲載されていません。各チーム2試合戦うはずなのに、大垣中と愛知四中と四日市商は1戦だけです。大垣中は1勝で「2勝者戦」に進出しています。脱落している試合が少なくとも1試合あるはずです。

「大垣中」をクリックしてみたところ、四日市商に5対1で勝っていました。1つ解決です。次に、愛知四中をクリックしてみましたが、大垣中との1試合分しか掲載されていません。ここで気になるのは愛知一中のリーグ戦における「不戦」です。

愛知四中が愛知一中との試合を棄権したのなら、とりあえず話の辻褄が合います。ワトソン君はそう推理したわけですが、推理は当たったときの「よっしゃ~」より、裏切られたときの「そうだったのか!」のほうがいつも爽快です。

「時習館と甲子園」という個人サイトがあります。私が「セットポジション」を運営していた10年以上前、私はこのサイトを訪ねた確かな記憶があります。ネット黎明期のいわゆる「ホームページ」のたたずまいを残しています。

昭和20年に旧制豊橋中学に入学し、昭和26年に時習館高校を3期生として卒業したという管理人さんは2003年に当該サイトを開設されています。計算上はちょうど60歳で定年です。

「第3回~8回夏の予選の成績」と題するページには次のような記述があります。

 (新愛知)第十六回東海野球大会は八月二日大垣中学校庭に催された。連日の早朝晴れて四囲の山々紫に白雲揺曳す。大会は競技場の乾くを待って午前十一時二十分名和大垣中学校長の始球式あり、直ちに大垣中学対四日市商業の試合を開始す。
四中不戦勝

滋賀師範対愛知四中の試合は滋賀師範の棄権に依りて四中は戦はずして勝利を得た。

第5回の東海予選には彦根中だけでなく、滋賀師範もエントリーしていたのでした。愛知四中のもう1試合は滋賀師範戦だったわけです。そうすると、愛知一中の「不戦」の相手も滋賀師範ということになります。

というわけで、実際のところはこんな感じだったものと思われます。なお、滋賀師範は京津大会に参加して1回戦で京都三中に敗れています。したがって、「夏といえば」の東海大会参加校に滋賀師範はカウントされていないのでしょう。

滋賀師範は結果的には二股をかけていたことになってしまいます。おそらく東海大会に参加する意思はあったのでしょう。当時、滋賀県中等学校野球連盟などという組織はありませんが、横やりが入ったものと思われます。

さて、ウラ優勝校ですが、次のようにつながることになります。

  • 神戸一中7-4長野師範1-0小倉中9-1鳥取中4-3愛知一中
  • (東海大会)愛知一中19-1岐阜中6-0大垣中10-3愛知四中(棄権)滋賀師範
    (東海大会)愛知一中19-1岐阜中6-0大垣中5-1四日市商

以上、滋賀師範と四日市商を第5回「ウラ優勝校」として認定します。長くなりましたので、次回に続きます

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